野球クロスロードBACK NUMBER
「80歳まで投げられたら夢があるよね」
山本昌が忘れない“しつこい”子供心。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/09/13 10:40
5日の阪神戦では老獪なピッチングで5回無失点に抑えて今季初勝利を挙げた山本昌。実はセリーグ最年長安打と打点記録も保持していて、今後打者としての最年長記録を更新するチャンスも巡ってくるだろう。
「岩田鉄五郎みたいに80まで投げたら夢があるよね!」
現役30年目の節目を迎えた昨年、冗談交じりではあるが、こんな未来像を語ってくれたことがあった。
「岩田鉄五郎(マンガ「野球狂の詩」の登場人物)って80歳まで投げていたよね。僕はどんなに年をとっても、彼みたいに『ニョホホ~』なんて言いながら投げないけど、マンガの世界だとしても80まで投げられるのは夢があっていいよね。僕はね、野球しかやってこなかったんで、今では選手でいることが楽しくて、他の仕事をしている自分が想像できないから。だからまあ、同世代のみなさんが僕の姿を見て元気になってくれるなら、できるだけ投げ続けたいとは思うかな」
49歳という年齢を考えれば、現役生活の終わりは近づいている。その現実は拭い去れないのかもしれない。
だが、これまで球界の常識をことごとく覆してきた山本昌なら、きっと、当たり前のように現役を続けてくれるに違いない。
なにせ彼は、「日本のプロ野球史上、最もしつこい選手」なのだ。