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巨人に3連敗を喫した阪神の“悔い”。
両監督の、1点にかける采配の差。
posted2014/09/12 16:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
4.5ゲーム差で激突した9月9日からの阪神対巨人の今季最終3連戦は、巨人がまさかの3連勝。優勝への虎ファンのかすかな望みは泡と消え、甲子園球場では15年ぶりとなる対巨人同一カード3連敗という屈辱だけが残る結果となった。
阪神にとって、誤算はもちろん投手陣だ。
今季巨人戦7試合に登板して4勝無敗の防御率1.94と、Gキラーの名をほしいままにしていたメッセンジャーを先発に立てながら、そのメッセンジャーが初回に2失点。結局4回持たずに8失点でKOを食らった初戦。
そして第3戦もエース・能見篤史が1回1死から巨人の2番打者・橋本到に与えた死球をきっかけに崩れて4失点、終始主導権を握れないままに3連敗への道を駆け下りていった。
第2戦の勝敗を分けたのは、両監督の采配の差。
ただ、である。
この戦いで唯一、勝機のあった第2戦。ここで見せた巨人・原辰徳監督と阪神・和田豊監督のベンチワークが、実はいまの巨人と阪神の埋めがたい差となっているように思えたのである。
この試合は阪神・岩田稔、巨人・菅野智之両先発の投げ合いで始まった。巨人の菅野は右手中指の腱の炎症で8月1日の広島戦以来、約40日ぶりの1軍マウンド。その立ち上がりの不安を突いて、阪神は初回に鳥谷敬のタイムリー二塁打で1点を先取した。
しかし2回以降は菅野も立ち直り、その後は首位攻防戦に相応しい緊迫した投げ合いで、阪神が1点のリードのまま終盤を迎えた。
そして7回に巨人が井端弘和の起死回生の同点本塁打から一気に流れをつかむと、8回に勝ち越し、9回にダメ押しと、まさに「強者の野球」で阪神を圧倒。3連勝へと一気に突き進むのである。