野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
野球芸術家の卵たちが集結。
「がんばれ! 日本橋ベアーズ」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHidenobu Murase
posted2014/08/26 10:30
展覧会の告知フライヤー。ながさわ画伯の画力は依然健在である。
ギャラリーの扉を開けると、シュンとしたながさわが……。
「どういうことなの? いい加減な人とはやりたくありません」
ギャラリーの扉を開けると、そこには肩をすぼめてシュンとしている“監督”ながさわの姿があった。傍らで明らかに怒気を含んだ声で呆れていたのが、ギャラリー「YUKI-SIS」のオーナー寺嶋由起さん。
志高く「ベアーズ」結団を掲げた、その結団式の日。ギャラリーを見渡せば9人いるはずのメンバーが5人しかいなかった。なんでも都合がつかずに欠席したり、遅刻したりで、メンバーがこれしか集まらないのだという。しかも、ギャラリーのオーナーに、自分たちがどういう作品を手掛けるのか、制作物の提出もしてこない。
プロの芸術家を相手にしているギャラリーで展示をするのに、この意識の低さ。この烏合の衆は、まさに映画の「ベアーズ」。いや、それ以下といってもよかった。
「彼の生き方はアート。でもあまりにも意識が……」
寺嶋さんは言う。
「私はながさわさんの生き方に賛同しているんです。彼の尖がった生き方はコンテンポラリーアート。こんな人はいないと思います。私たちは作品が実際に売れる・売れないよりも、本物の作家さんを応援していきたいし、サポートしていきたい。それがギャラリーの仕事だと思っています。だから、ながさわさんが『面白い若い子たちが集まっているから、“がんばれベアーズ”を作りたい』という申し出も受けたんですけどね。……あまりにも意識が低くて。そういう人はお断りしたんです」
聞けばながさわ監督が集めたという9人。芸術こそやっているものの、野球のものは作ったことがない美大生やら、芸術とはまったく無縁の神宮球場でつばめの人形を作って選手に手渡しているおばちゃんに無理やり声を掛けて人数に入れていたというから……そもそも芸術家として意識を高く持てと言う方が無理であろう。
限られたギャラリーのスペースを貸し出す寺嶋さんの怒りもごもっとも。アウト×デラックスに出演してちやほやされて、調子に乗ってしまったのか。ながさわ。