ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
W杯優勝を置き土産にして代表引退。
鉄人ラームは葛藤を抱えていたのか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/08/06 10:40
170cm、66kgというドイツ代表で最も小さなフィリップ・ラームが、ピッチ上では誰よりも大きな仕事を涼しい顔で成し遂げる。
「昨シーズンの途中から」代表引退を考えていた。
ただ、ラーム自身が明言を避けているので、理由がはっきりしない。はたして、何が彼を代表引退に駆り立てたのだろうか。
それを探る上で、ヒントとなりそうなのが、彼の引退声明における以下の部分だ。
「“昨シーズンの最中から”、今回のワールドカップを最後に代表から引退するつもりでいました」
『ビルト』誌は大会前からラームの決意が揺るぎのないものだったと分析しており、ブラジルW杯期間中のラームのこんなコメントを紹介している。
「3つの異なる大陸で3度のW杯を戦えたことは本当に良い経験だったと考えていますね。これが最後の大会になるとしても……」
W杯で優勝できなかったとしても決断は揺るぎなかった。
実際、ラーム自身も、「もちろんW杯優勝とともに代表を引退できるのは運命の贈り物ですよね。ただ、仮にトロフィーをブラジルから持ち帰ることが出来なかったとしても、僕は代表を引退していたはずです」と語っている。
「昨シーズンの最中」に代表を退くべきではないかとラームが考えるようになっていった理由とは何なのだろうか?
ラームという選手の特長を語る時、アジリティとポジショニングを活かした守備や、苦しい場面でボールを預けられても味方につなげるセンス、あるいは何度も上下動を繰り返すスタミナなど、プレーヤーとしての資質があがる事が多い。
しかし意外に見逃されているのが、彼の鉄人ぶりだ。過去5シーズンの彼の公式戦出場試合数とスタメン数、そしてバイエルンが戦った試合数を以下に記す。