ブラジルW杯通信BACK NUMBER
ドイツに声援を送ったブラジル人たち。
歴史的大敗で傷ついた王国の“誇り”。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2014/07/09 11:35
大会前は不安視されながらも、ここまで安定したセーブでチームを救ってきたジュリオ・セザルだったが、押し寄せるドイツの猛攻になす術はなかった。ネイマールとチアゴ・シウバがいたら、試合の結果は変わっていたのだろうか。
優勝を「望まれる」のではなく「期待される」ということ。
「我々は、みなさんに許しを請いたい。この過ちを許してほしい。責任は私にある。6分間に4ゴールなんて、普通ではおきないことがおきてしまった。申し訳ない」
試合後のインタビューで、スコラーリ監督は悲痛そのものの表情で言葉を絞り出した。
ブラジルの怪物ロナウドの15得点を抜く、W杯通算最多となる16点目を決めたクローゼは「我々がチームであることを示したし、日頃の成果がでたことが重要。トニ(クロース)からは欲しいところにボールが来た」と話し、さらにチャーミングに続けた。「でも得点後に宙返りのパフォーマンスが出来なかったのがショックだったよ」
ドイツはこれで決勝進出。『キッカー』誌での事前アンケートでは、直前の代表の成績が芳しくなかったこともあり、8強止まりと予想した読者が多かった。
しかし本来、ドイツというのはタイトルを期待されているチームなのだとドイツ人記者は言う。“望まれて”いるのではなくて、“期待”されている、つまり“hope”ではなく“expect”なのだと。W杯での6戦を経て、パワーアップしてきたドイツが24年ぶりにその期待に応えることができるか。