日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
キプロス戦、ザックは相当不満足!?
長谷部誠が語った1-0の光と影。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/05/28 12:00
「今日は(コンディションが良くて)ハットトリックができるんじゃないかというくらいだったのに、そういうなかでちゃんと決めるというのが自分の課題」と試合後に語った長谷部。怪我も癒えて完全復活を果たした。
「調整試合」とはいえ気になった本田の状態。
キプロス戦は、あくまでブラジルW杯本大会に向けた「調整試合」である。
本大会までの「線」で考える場合、パスワークのズレ、プレースピードの足りなさというものはアメリカで用意されているコスタリカ、ザンビア戦で確認していきたいと思う。
この試合で気になった点で言うなら、大黒柱である本田圭佑の状態があまり良くないと感じたこと。合流して間もないこともあるだろうが、ここまでミスが目立った試合もなかなかない。ボールが落ち着かない印象で、絶好機も活かせない。岡崎慎司もいつになく重かったとはいえ、コンディション的には、本田が最も良くなかったように感じた。
そしてチームの攻撃面で気になったところを挙げれば、パスワークのチャレンジを選択せず、サイドから中に送る「意図を感じない」クロスが多かったこと。中に合わせるしっかりとした狙いがあればいいのだが、ニアに飛び込んでくるような場面はない。かと言って前線に高さがない以上、単純に放り込むクロスでは効果的とは言えない。相手には190cmを誇るセンターバックもおり、クロスには意図的な狙いが欲しかった。
アルベルト・ザッケローニ監督は会見のなかで「今夜の試合でW杯のスピードを求めても仕方ない。それよりも頭のスピード、つまり判断力を重点的に見たかった」と語ったが、このあたりは“同じ手”を繰り返した感が強かった。
後半から徐々に発揮された「判断のスピード」。
だが後半に入ると、ボールを奪ってから縦を狙うような、前線に当てるパターンが増えた。得点にこそ結びつかなかったものの、前半にはない「頭のスピード」を後半に見ることができた。特に後半スタートから投入された、実戦復帰したばかりの長谷部の動きの良さが目についた。セカンドボールへの意識、前線に顔を出して攻撃に絡む意識は、相当に高かったように思う。
試合後、長谷部はこう語っている。
「早いタイミングで縦パスを入れてというのは、相手も引いていたので考えてました。ただ、相手も疲れていたので、後半のほうが押し込めるかなというのはありましたけど。
引いた相手には速くボールを回していかないと、各駅停車じゃないけど、もう1個飛ばしたりとか、あとは早いタイミングで前に当てたりとか、そういった緩急つけないと、こういう相手には厳しいので、意識していました」