メルマガNumberセレクションBACK NUMBER
福西崇史、読者交流イベントレポート。
「バルサ、ガッツが足りないよな(笑)」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2014/05/14 10:30
CL敗退後、そのパフォーマンスが批判の対象になったメッシだが、マルティーノ監督は「彼の立場は大変辛いと思う」と擁護した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
【3】《考察》 バルセロナを考える(1)
-------------------------------------------------------------------
~ 走らないメッシ ~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
―――福西さん、ここからは通常どおりのメルマガです。えっと……前号に続いてチャンピオンズリーグの話題なんですけどね。
福西:おお、準決勝の第1戦はレアル・マドリーがバイエルンに勝って、アトレティコ・マドリーとチェルシーが0-0だったんだっけ。
―――はい。でも、お聞きしたいのは準決勝のことじゃなく、準々決勝で負けてしまったバルセロナのことなんです。
福西:ああ、バルサね。ちょっと待って。思い出すわ(笑)。
―――はい(笑)。アトレティコとの準々決勝第2戦のデータなんですけど、メッシがロスタイムを含めた93分間で6.8kmしか走っていなかったそうなんですよ。
福西:なるほどね~。
―――選手一人あたりの平均的な走行距離数はだいたい10km前後と言われているので、明らかに少ない数字ということになると思うんですが。
福西:そうだね。ものすごくよく走る選手でも12kmくらい。アトレティコ戦を見た印象としては、バルサにとっての生命線であるメッシの使い方ができていない、メッシの突破力が生かされていないという印象は残った。ただ、それだけ走っていないとなると、そういう印象が残っても仕方ないよね。走行距離ですべてが分かるわけじゃないけど、確かに6km台というのは少なすぎる。
―――そうですよね。
最近のバルサは、最後の局面で崩しきれない。
福西:最近のバルサは、最後の局面で相手を崩し切るということができていない。パスを回すスタイルは今までどおりなんだけど、メッシもよくボールに触っている。でも、バルサがいい時は、やっぱりもっと、メッシが頻繁に仕掛けるようなドリブルを選択している。その良さを、走らないことで自ら消してしまっていると言えるかもしれない。
―――相手の“消し方”もうまいと言えますか?
福西:言えるね。特にアトレティコは、バルサのいいところを消す守備が本当にうまかった。
―――ちなみにそのデータで言うと、アトレティコのMFコケが12.2kmも走っていて、つまりメッシの2倍。しかもバルサのGKピントが5.3km走っているらしく、それによってメッシの走行距離がいかに少ないかが浮き彫りになってしまったというか。
福西:うーん、そうなると、やっぱりちょっと普通じゃないデータと言えるかもしれないね。メッシのポジションを考えれば、パスをもらう動きが極端に少ないということなのかな。もちろん守備の部分にも影響していると思う。
―――そうですよね。
福西:やっぱり、スペースを作らないことには攻撃の糸口はつかめない。走らなければスペースは生まれないからね。
―――さすがのバルサも、ちょっと難しい時期を迎えているということなんですかねえ……。