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本田圭佑を欧州の舞台へ導いた男。
VVV会長が語る移籍、ミラン、W杯。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byPICS UNITED/AFLO

posted2014/04/17 10:40

本田圭佑を欧州の舞台へ導いた男。VVV会長が語る移籍、ミラン、W杯。<Number Web> photograph by PICS UNITED/AFLO

2009年、チームのエースとしてVVVをオランダ2部からエールディビジ昇格に導き、ハイ・ベルデン会長(左)と抱き合う本田圭佑。

イタリアサッカーとの相性、そしてW杯での「優勝」は?

――本田選手は個人的にはレアル・マドリーの10番を付けてプレーしたいと話していました。

「彼のプレースタイルはスペインにはすごく合っていると思います。今はイタリアでプレーしていますが、セリエAはフィジカル重視のサッカーです。今のスタイルの方が、彼には合っていないと私は感じます(笑)。

 特にホンダの特長である、ボールを受けてすぐにパスを供給するようなプレーや、コンビネーションを重要視するスタイルはスペインのサッカーそのものです。もし仮にスペインに行けたとすれば、そこでも彼はきっと成功すると思います」

――さらにステップアップするために、あえて本田選手の課題を挙げるとすれば?

「彼にはスピードがない。以前よりは速くなりましたが、でも速さを生かした選手ではない。特にボールを受けてからのスピードは、正直速くない。もちろん速さとはフィジカルの面だけではなく、判断の速さも重要になってきます。彼は非常に頭の良い選手なので、しっかりとした判断をして何が課題なのかを具体的に挙げていくことができると思います。課題があるがゆえに、逆に成功することになるとも言えます。彼自身それを一番理解していますし、そんな姿勢に期待しています」

「ホンダはブラジルW杯で大きく活躍する一人になる」

――本田選手はブラジルW杯で、どんな姿を見せてくれるでしょうか? 彼は『W杯で優勝する』と話しています。

「うーん……そうですね(笑)、まずホンダ自身の前に、日本代表の予想をすることはすごく難しいことです。ホンダは優勝すると言っているのでしょうけど、正直それは現実的ではないかなと私は考えます。

 これまで優勝しているイタリア、ドイツ、ブラジル、アルゼンチンなど、どこもステップバイステップで少しづつ成長していった結果、決勝までたどり着いた歴史があります。オランダにしても3度W杯の決勝の舞台に立って、まだ一度も優勝した経験がありません。その中で、まず日本が目指さなければならないのは、準々決勝、準決勝、そして決勝という階段を上っていくことです。いきなりそれらを飛び越えて優勝というのは、これだけ強豪国がいる今のサッカー界では現実的ではないと思います。

 ただ一つだけ言えることは、現チャンピオンのスペインの平均年齢が上がってきているので、パフォーマンスは落ちているでしょう。サッカーの世界は常に動き続けるものです。それが今回証明されるのではないでしょうか。

 その観点からすれば、ホンダは27歳(W杯初戦のコートジボワール戦前日の6月13日で28歳)。一番エネルギーが漲っている年齢ですし、彼が今大会で大きく活躍する選手の一人になると思います。W杯のなかで目立った存在になる気がします。それはなぜかと言うと、まずVVV時代の土台があって、CSKA、ミランと成長していったプラットホームがあるので、好パフォーマンスを残せるでしょう」

【次ページ】 「彼の上を目指すメンタリティは本当に素晴らしい」

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