欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
本田圭佑を欧州の舞台へ導いた男。
VVV会長が語る移籍、ミラン、W杯。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byPICS UNITED/AFLO
posted2014/04/17 10:40
2009年、チームのエースとしてVVVをオランダ2部からエールディビジ昇格に導き、ハイ・ベルデン会長(左)と抱き合う本田圭佑。
皇居のお堀を臨む瀟洒なホテル。ロビーに姿を現した白髪の紳士は、席に着くと柔らかい表情を浮かべながら終始多弁に物語っていった。実に、日本とのつながりあいは約30年にも及ぶという。
オランダ・VVVフェンロ会長、ハイ・ベルデン。今や日本のサッカー界では広く知れ渡っている名前かもしれない。日本代表の本田圭佑、吉田麻也を獲得するなど、複数の日本人選手に欧州挑戦のファーストステップの機会を与えていった人物である。
本業はオランダでも有数の物流会社を経営するベルデン氏。今回の来日では、取引先とのビジネスミーティングの合間を縫ってJリーグの試合を観戦するだけでなく、現在VVVに所属しており、負傷離脱により日本でリハビリを進める大津祐樹の様子を見に行くなど、サッカークラブ会長としての振る舞いも忘れなかった。
約2週間弱の滞在を終え、帰国する前日。ベルデン会長がインタビューに応じた。話の中身は本田や吉田のことから、今冬からVVVのコーチとして指導者のキャリアをスタートさせた藤田俊哉氏、さらにはブラジルW杯での日本代表の戦いにまで及んだ。
2回に分けてお届けする、今回のインタビュー。まず第1回目のテーマは、日本のエース「本田圭佑」について――。
ベッカムのような華やかさがホンダにはある。
――本田選手と吉田選手の2人がW杯に出場すれば、VVVフェンロにとっても名誉なことですか?
「本当に誇らしいことです。ホンダは攻撃の中心として、日本代表の“10番のポジション(トップ下)”でプレーしている。チームの屋台骨を担う選手です。マヤはディフェンスリーダーとして、日本代表を支えている。
ホンダと初めて会ったときに感じたのは、言葉にするのは難しいのですが、非常に強いパーソナリティでした。その強さゆえに、今の成功があるのだと思います。彼のような選手はこれまでも世界にはいた。例えばオランダで言えば、ヨハン・クライフ。イングランドで言えば、デイビッド・ベッカムもそうです。ベッカムのような華やかさやタレント性もホンダは兼ね備えている。
彼はサッカーだけに限らず、取り巻く環境に大きな影響力を持っています。インパクトのある素晴らしい選手だと思います」