欧州CL通信BACK NUMBER
香川真司と堅守速攻の意外な相性。
マンUが世界王者バイエルンとドロー。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMan Utd via Getty Images
posted2014/04/02 12:30
先制点をあげたビディッチの頭を撫でる香川。セカンドレグはバイエルンのホームだが、2選手(シュバインシュタイガー、ハビ・マルティネス)が出場停止となるので予断を許さない。
グアルディオラ「あれだけ深く引かれては……」
しかし、これはユナイテッドの思惑通りだったのだ。
DFラインを下げているため、スピードのない守備陣が裏をとられるような場面はほとんどない。サイドからクロスをあげられるような局面でも、中央には人数が揃っている。そして、ウェルベックがカウンターからフィニッシュを狙う。
さらに幸せなことに、勝負に徹したチームをホームのファンは迷うことなくサポートした。ユナイテッドがボールを奪えば大歓声。攻撃が不発に終わっても、拍手を送り、選手たちを鼓舞する。ユナイテッドは選手からファンにいたるまで、みんなが同じ方向をむいて戦うことが出来た。
だからこそ、前半は31分にロッベンがエリア手前からミドルシュートを放ったシーン以外に、バイエルンにチャンスらしいチャンスは作らせなかった。
「あれだけ深く引いたチームを相手にするのは難しいものだ」
試合後にグアルディオラはそうもらしている。
ペップの不満、モイーズの後悔。
ペップにとって不満が残るとすれば、出場停止のダンテに代わって出場した左センターバック、ボアテンクの出来だろうか。リベリーとアラバがいる左サイドに、ロッベンもときおり寄ってくるため、攻撃は左サイドに偏りがちになった。右サイドのラフィーニャの前にはぽっかりスペースが空いていたため、再三にわたりボアテンクに対して右サイドへ展開するように求めていたが、そのプランが実行されないままだったからだ。
逆に、狙いがはっきりしていたユナイテッドは40分にカウンターから決定的なチャンスをつかんだ。
低い位置でパスを受けたルーニーが、相手のDFラインの裏を狙ったパスを送る。バイエルンのボアテンクが、クリアしようとして体勢を崩す。ラインを越えたボールに反応したウェルベックがフリーでペナルティエリアに進入した。
「あのようなチャンスをつかんだならば、ものにしないといけない」
試合後にモイーズ監督は悔しそうに語ることになったが、ループを狙い、やや中途半端な形になったウェルベックのシュートはノイアーの右手に阻まれてしまった。