サッカーの尻尾BACK NUMBER
レアルがドルトムントに3-0で先勝!
昨年の戦犯がマン・オブ・ザ・マッチに。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byReal Madrid via Getty Images
posted2014/04/03 11:30
ドルトムントの決定的なシュートを見事なブロックで防いだペペ(左)がカシージャスと抱き合う。試合後には無失点について「良い選手がペナルティエリア内を制していたからね」と自らのプレーを称えた。
サンティアゴ・ベルナベウのピッチサイドで、イスコが笑みを浮かべてインタビューに答えていた。
「準決勝進出にむけて大きな勝利だ。チームが3得点を決めたし、何より失点をしなかったことが大きかった。ただ、まだ突破が決まった訳じゃない。サッカーでは何が起こるかは分からない。まさに去年、マドリーがドルトムントで4-1で負けたように……」
CL準々決勝第1戦、レアル・マドリーは3-0でドルトムントを破った。
ベイルが、イスコが、そして最後にはクリスティアーノ・ロナウドが決めるなど、役者が揃った快勝だった。
試合後、とあるTVの解説者はこんなことを話していた。
「これはマドリーの事実上の準決勝進出でしょう!」
どこか浮かれた空気が、マドリードに流れている。
しかし選手の胸中には、まだ昨季のCL準決勝第1戦でドルトムントに喫した4-1の大敗の記憶が残っている。
ドルトムントはホームで強い――誰もがそれを知りつつも、試合後の選手の口からは、突破に向けての自信溢れる言葉が飛び出してきた。シャイでどこまでも謙虚なベンゼマでさえこうだ。
「いいスコアだ。第2戦も今日のようにプレーできたら、まず突破できる。デシマ(10度目のCLタイトル)を手にしたいね」
予想を上回る3-0のスコア。快勝の主役となったのは、この試合に特別な思いで挑んでいたふたりの男だった。
マドリーに「ディマリア欠場!」の激震が走ったが……。
試合前、マドリーに想定外の事態が起きていた。
今季ミッドフィルダーにコンバートされ、中盤での攻守に欠くことのできない存在になっていたディマリアが、消化器系の疾患でメンバー外になったのである。
アンチェロッティが代役として呼んだのが、昨季マラガのユニフォームを着てドルトムントを苦しめたイスコだった。