ルーキーの大胆な抜擢が目立つ巨人、ヤクルト。

　まずはセ・リーグの新人王候補を幅広く選んでみた。

      大野雄大 （佛教大→中日1位） 投手
      榎田大樹 （東京ガス→阪神1位） 投手
      澤村拓一 （中大→巨人1位） 投手
      七條祐樹 （伯和ビクトリーズ→ヤクルト2位） 投手
      北野洸貴 （神奈川大→ヤクルト育成1位） 外野手
      福井優也 （早大→広島1位） 投手
      須田幸太 （JFE東日本→横浜1位） 投手
      加賀美希昇 （法大→横浜2位） 投手
  ＊ 大田泰示 （巨人3年目。7打数0安打） 三塁手
  ＊ 今村猛 （広島2年目。4回、0勝1敗、防御率15.75） 投手
  ＊ 中田廉 （広島3年目。25回、1勝1敗、防御率4.32） 投手
  ＊ 筒香嘉智 （横浜2年目。7打数1安打1本塁打、打率.143） 三塁手

［註］　在籍選手（＊印）で新人王の資格があるのは、「支配下登録されてから5年以内」「投手なら30イニング以内」「打者なら60打席以内」の選手。次に紹介している在籍選手の成績は'10年度のもの。

　先に挙げた過去の新人王リストから、4つの法則を引き出した。それぞれに該当する選手名は次の通りである。

    【A】 前年の上位チームのほうが新人・若手を抜擢する……大野、榎田、澤村、大田
    【B】 巨人、ヤクルトで6割……澤村、大田、七條、北野
    【C】 野手はチャンスメーカータイプ……北野
    【D】 投手は先発タイプ……大野、榎田、澤村、福井、今村、中田

　【A】の「前年の上位チームのほうが新人・若手を抜擢する」は実際にはどう表われるのか。セ・リーグなら3年連続最下位の横浜のほうが、チーム刷新の意欲が強そうに見える。地元・横浜高出身のスラッガー、筒香嘉智（三塁手）などは売り出したくて仕方ないはずだが、三塁にはチームの顔、村田修一がいて、一塁で使おうとすれば昨年、途中入団（6月下旬）で打率.316（安打71）、本塁打19、打点56を挙げたハーパーがいる（ハーパーは昨年、一塁以外は守っていない）。今年最下位なら、尾花高夫監督には「監督失格」の烙印が押される。それでも未知数の筒香を起用できるのかどうか、監督、フロントの覚悟が問われるところだが、私は無理だと思っている。

　【B】の「巨人、ヤクルトで6割」は両チームの体質と言っていい。とくに最近の巨人は“育成の巨人”と冠がついたこともあり、若手の起用に躊躇しなくなった。今年も澤村という有力投手が控え、首脳陣の抜擢への意欲もあるので、新人王はかなり有力だと考えている。

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