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“プロ野球新人王の法則”を発見!?
2011年度は斎藤と澤村が大本命か。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKYODO
posted2011/01/14 10:30
巨人が一本釣りした澤村は、実力的にも過去の傾向からみても、セ・リーグ新人王の最右翼と言えるだろう
斎藤、大石ら有力投手ひしめくパ・リーグは混戦模様。
続いてパ・リーグの新人王候補を幅広く選んでみた。
大石達也 (早大→西武1位) 投手
牧田和久 (日本通運→西武2位) 投手
伊志嶺翔大 (東海大→ロッテ1位) 外野手
南昌輝 (立正大→ロッテ2位) 投手
小林敦 (七十七銀行→ロッテ3位) 投手
斎藤佑樹 (早大→日本ハム1位) 投手
乾真大 (東洋大→日本ハム3位) 投手
塩見貴洋 (八戸大→楽天1位) 投手
* 岩嵜翔 (ソフトバンク4年目。29.2回、0勝4敗、防御率7.89) 投手
* 菊池雄星 (西武2年目。二軍=8回、1勝1敗、防御率0.00) 投手
* 中村勝 (日本ハム2年目。18回、1勝2敗、防御率5.50) 投手
* 菊池保則 (楽天4年目。11回、1勝1敗、防御率4.09) 投手
セ同様、過去の新人王リストから4つの法則を引き出した。それぞれに該当する選手名は次の通りである。
【A】 投手しか選出されない……伊志嶺以外の全員
【B】 最下位チームから選出されていない。また上位チームからの選出が多く、日本一チームからは10年間で3人……大石、牧田、伊志嶺、南、小林
【C】 ソフトバンク、日本ハムから6人……岩嵜、斎藤、乾、中村
【D】 左腕とリリーフタイプが選出される……小林、乾
【A】の「投手しか選出されない」は、'99年の松坂大輔までさかのぼれる。今年の候補も伊志嶺以外は全員投手なので、ほぼ間違いなく投手から選出されるだろう。
【B】の「上位チームが多く、日本一チームから3人」では、ロッテに注目したい。西岡剛のメジャー移籍によって後釜のショートに荻野貴司が入れば、外野はサブロー、大松尚逸、清田育宏、新人の伊志嶺翔大との争いになる。また、年齢的な後退が進んだ福浦和也の代わりに大松が指名代打に回れば外野の一角は自然と1つ空き、ここに伊志嶺が入る可能性も出てくる。野手の可能性はほぼ無いとは思うが、伊志嶺の新人王獲得は“実力的には”おかしなことではない。
小林宏のメジャー希望による退団によって、リリーフ陣も再編を迫られている。内竜也が抑えに入って、伊藤義弘、薮田安彦が中継ぎに入ることになりそうだが、中継ぎ陣にはもう少し厚みがほしい。リリーフタイプの小林にとって働き場所は十分ありそうだ。
先発陣は日本一になった昨年から手薄だった。成瀬善久、唐川侑己、渡辺俊介まで名前が出てもあとが続かない。南は大学4年になって調子を落とし、ドラフト2位指名に甘んじたが、3年秋に立正大を全国優勝に導いた実力は本物。フォークボール、カーブと今のプロが最も嫌がる縦の変化球を持っており、1年目から勝てる要素は持っている。