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杜の都から横浜へ。
楽天・渡辺、涙の移籍。
~“野村門下生”尾花監督の下へ~
text by
永谷脩Osamu Nagatani
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/01/10 08:00
チームリーダーの山崎武司も「出すべき選手ではなかった」と球団の対応に苦言を呈した
ある場所から去ることになった時、心から涙を流してくれる人が何人いるかで、その人の価値が決まる。楽天・渡辺直人の横浜移籍が決まった時、鉄平、嶋基宏、草野大輔が悔し涙を流しているのを見て、若い頃に読んだ本に記されていた一節をふと思い出した。
「女性以外に3人も泣いてくれる人がいたんだ。それってすごいことじゃない」
渡辺に声をかけると、何とも所在無げな作り笑いを返してくれた。
昨年最下位に沈んだ楽天は岩村明憲、松井稼頭央の元メジャーリーガーで二遊間を補強し、岩隈久志のポスティングで得た落札金でふたりの年俸を払う、という青写真を描いていた。ところが交渉が不調に終わり、岩隈の残留が決定。そこで同じ内野手の渡辺が放出されることになったのだ。控えで置いておくよりも金銭トレードで金にしたい、そう思われても仕方のないトレードだった。