フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
浅田真央が総合6位にまで挽回!
キム・ヨナ連覇ならず、ソトニコワが金。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/21 11:50
フリーの演技後、浅田は一度泣き崩れそうになったが、グッとこらえて笑顔を観客に向けた。
キム・ヨナの敗因。
ソトニコワのスコアの224.59があまりにも高い、という声は北米のメディアからも欧州のメディアからも聞かれた。ノーミスで滑りきったキム・ヨナよりフリーでは6点近くも高く、2位からの逆転優勝。期待されていたリプニツカヤが優勝争いから外れた分、こちらにホームアドバンテージ点が気前よく投入されたという印象はある。
だが会場に来ていた長野五輪男子フィギュア銀メダリストのエルビス・ストイコ(元カナダ代表)は、順位は納得できるものだ、と採点シートを見ながら私に説明してくれた。
キム・ヨナは苦手な3ループをプログラムに入れておらず、4種類の3回転を合計6回しか跳んでいない。その一方でソトニコワはキムも跳んだ3ルッツ+3トウループを含む5種類の3回転を合計7回成功させた。
「確かにソトニコワの5コンポーネンツはちょっと高目。だがこれを5ポイント引き下げたとしても、やはり技術点の分でソトニコワが優勝していたでしょう」
カロリナ・コストナーの銅メダル。
最終グループのうちでこの日の一番の演技は、コストナーだったという関係者の意見も多かった。ソトニコワは確かに生き生きと最後まで滑りきったが、まだジュニアらしさが残る。キムは無駄な力の入らないジャンプは見事だったが、淡々とした機械的な演技だった。
そんな中で、コストナーはこれぞフィギュアスケートという優美なプログラム「ボレロ」を、ノーミスで滑りきった。彼女が最後のスピンに入ったところで、関係者席に座っていた選手たちが一斉に立ち上がり、歓声をおくった。
「でも彼女はルッツとフリップが1回ずつで、ジャンプの難易度は他の2人ほどではなかった。美しい演技だったことは間違いない。でもフィギュアスケートはスポーツなんですよ」とストイコは説明する。そういう彼自身、初代の4回転王で優れたジャンパーだった。