フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
浅田真央が総合6位にまで挽回!
キム・ヨナ連覇ならず、ソトニコワが金。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/21 11:50
フリーの演技後、浅田は一度泣き崩れそうになったが、グッとこらえて笑顔を観客に向けた。
浅田を救った恩師の言葉。
もちろんいったん演技が始まったなら、いかにコーチであろうとも生徒を助けることなどできない。フィギュアスケートは孤独な戦いである。
だが佐藤コーチは、今の彼女にこの言葉が必要だと思ったのだろう。この4年間ずっと信頼してついていった佐藤コーチの「何かあったら助けに行く」という言葉が、浅田の心に温かく響いたのに違いない。
142.71でパーソナルベストを更新。総合198.22で最終グループの演技が終わるのを待つことになった。
アデリナ・ソトニコワ優勝の意味。
最終グループは、レベルの高い戦いとなった。
団体戦の後、15歳のユリア・リプニツカヤが一躍金メダリスト候補に浮上したが、個人戦ではSP、フリーともにジャンプミスが出て優勝争いからはずれた。
ノーミスの演技を見せたキム・ヨナを抑えて優勝したのは、もう一人のロシア女子、17歳のアデリナ・ソトニコワだった。
「ロシアのメダルは確実だったので、私は団体戦に出たかった。それなのにメンバーに選んでもらえなかったとき、すごく腹を立てました。そして個人戦でメダルを取って見返してやろうと決意をしたの。今思うと、そのおかげで頑張れたのだと思います」
12歳で初のロシアタイトルを手にした天才少女、ソトニコワは2011年の世界ジュニアチャンピオンである。ジュニア時代は負け知らずだったが、シニアに上がってしばらく演技が安定しなかった。欧州選手権では銀を2度手にしているが、昨年度の世界選手権は9位。まさかここで金メダルを取るだろうとは、予想していなかった。