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「また力の限りやってみたい」
柴田未崎、36歳の騎手再デビュー。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byAkihiro Shimada

posted2014/02/15 08:20

「また力の限りやってみたい」柴田未崎、36歳の騎手再デビュー。<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

競馬学校を卒業したばかりの“同期”と写真におさまる柴田未崎(右端)。一人だけ保護者のような貫禄を放っている。

3月1日、あの美しいフォームが戻ってくるか。

 15年間騎手をつづけ、3年間調教助手として働いた。助手時代の3年間は単なるブランクではなく「馬一頭を育てるのにたくさんの人がいろいろな努力をし、その集大成としての仕事を請け負うのが騎手だ、ということを身をもって学んだ」時間だった。

 36歳。純然たる体力勝負ではなく、「職人」としての経験も問われる騎手という職業においては、もっともいい年齢である。

 騎乗馬が得られれば、3月1日の土曜日に復帰する。

 実は筆者は、デビュー当時から彼の騎乗フォームが好きだった。花の12期生がデビューした'96年の春、「ミスター競馬」と呼ばれた元騎手・調教師の野平祐二(故人)に、

「今年の新人騎手で、あなたが一番上手いと思うのは誰ですか」

 と訊かれたとき、

「柴田未崎です」

 と答えていた。

 私は武豊、田原成貴といった、道中はやわらかくスタイリッシュに乗り、直線では豪快に追うタイプの騎手が好きで、そのふたりにもっともイメージが重なったのが柴田だったのである。

 復帰に向け、この1年ほどずっとランニングと筋トレをつづけ、近隣の少年たちと一緒に乗馬練習もしてきた。

 まじめで、話していて気持ちのいい男である。

「一頭一頭を大事に乗っていきたいです」

 36歳の再チャレンジ。ぜひとも、もうひと花咲かせ、私たちを勇気づけてほしい。

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