オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪で8位に入賞して悔しがる41歳。
葛西紀明、ラージヒルで「お返し」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2014/02/10 12:15
悔しそうな表情でインタビューに答える葛西紀明。“レジェンド”と呼ばれる男は、次のラージヒルへ向けて逆襲を誓っていた。
100mジャンプを2本揃えたのは葛西ともう1人だけ。
一方では、収穫のある試合ともなった。
このところのオリンピックでのノーマルヒルの成績は、2002年のソルトレイクシティは49位、'06年のトリノが20位、そして'10年のバンクーバーでは17位。メダル争いとは遠いところにいた。だが今回は、メダルを狙える位置にいながらの試合だった。
今シーズン、葛西は10年ぶりにワールドカップで優勝し、表彰台にも上がるなど、この数年では最高の成績をあげてきた。自身の立ち位置が高いところにあることを、オリンピックの最初の試合で示したのが収穫のひとつ。
ノーマルヒルでは、2本ともに100mジャンプをそろえたのは、優勝したストッホと葛西のみ。飛型点で差がついたものの、それもまた好材料である。
「次のラージヒルではお返ししてやりたいですね」
考えてみれば8位入賞自体、十分評価される成績だが、葛西自身シーズンを通じて得てきた自信と手ごたえがあるからこそ、満足はしていない。
「今日は遠目に(表彰式の)1位、2位、3位を見て悔しかったので、次のラージヒルではお返ししてやりたいですね」
葛西はどちらかと言えば、ラージヒルを得意とする。15日(現地時間)に行なわれるその決勝へ向け、巻き返しを誓った。
他の日本勢は、清水が18位、渡瀬は21位、竹内は24位。
「1回目はとても緊張しました。こうやってオリンピックに出られて、メダルのチャンスは近づいていると思います」(清水)
「最高の舞台で飛ばせてもらえる喜びと感謝の気持ち。今できることはやりました」(渡瀬)
「直すところは分かっています」(竹内)
三者三様に、成果と課題を口にした。
9日は出場しなかった伊東大貴を含め、日本男子ジャンプ陣は復権をかけてラージヒル、団体へと臨む。