ブックソムリエ ~新刊ワンショット時評~BACK NUMBER

浮かびあがる彼女たちの情熱。
~『フライングガールズ』を読む~ 

text by

幅允孝

幅允孝Yoshitaka Haba

PROFILE

photograph byRyo Suzuki

posted2014/02/11 08:10

浮かびあがる彼女たちの情熱。~『フライングガールズ』を読む~<Number Web> photograph by Ryo Suzuki

『フライングガールズ 高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦』松原孝臣著 文藝春秋 1400円+税

 彼女は、なぜあんなにも遠くまで飛べるのか? 今シーズンも破竹の勢いで女子ジャンプのワールドカップ優勝記録を塗り替え続ける高梨沙羅。ライバルであるもう1人の「サラ」ことサラ・ヘンドリクソンの不在があるものの、高梨の安定したフォームと精神は、他の選手の追随を許さない境地に達していることは確かだ。宙に舞う美しいジャンプ。

 ジャンプ競技とは飛び出す時にロスをせず、浮力と揚力を使っていかに「落ちないか」を競うスポーツらしい。「跳ぶ」より「浮かぶ」というわけだ。 

 本書は、かつては、男子のみのスポーツだったスキージャンプがどのような来歴を経て今に至ったのかを示す。そこには、高梨ら若手女子選手たちが追い掛けた先輩ジャンパーの背中が、毅然とした存在感を放っていた。女子ジャンプ界のパイオニア山田いずみ。長野五輪のテストジャンパーを務めた葛西賀子。知られざる情熱の系譜が、そこにはある。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 230文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

#高梨沙羅
#ソチ五輪
#オリンピック・パラリンピック

冬季スポーツの前後の記事

ページトップ