プレミアリーグの時間BACK NUMBER
まさに「予測不能」の展開続き!
混戦となったプレミア前半戦を総括。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2011/01/08 08:01
今季プレミアに新加入した選手のなかで、最も輝きを見せたトッテナムのファンデルファールト。CLベスト16ではイタリアの名門・ミランに対して、どのようなプレーを見せるか
プレミアリーグは、10日間でリーグ戦4試合という多忙な年末年始の間に、折返し地点を通過した。
前半戦を一言で表現すれば、「予測不能」になるだろうか。
格下が格上を倒す“アップセット”も当たり前。結果として、リーグ上位では5チーム、中位以下では10チームが、わずか5ポイント差の中にひしめく状態で後半戦を迎えた。
この異例の混戦には、昨季上位勢の「補強不足」という理由がある。
最たる例が昨季王者のチェルシーだ。2試合連続6対0で大勝し、見事な開幕ダッシュを決めたときには連覇が濃厚とさえ思われた。しかし前半戦半ばから、中盤と最終ラインで主力の欠場が相次ぐと、ベテラン5名が放出されたバックアッパーの質と量の低下を露呈し、序盤戦での貯金を食い潰した。4年ぶりの2連敗を含むリーグ戦での「無勝」は13節から1カ月半も続き、18節にアーセナルとのロンドンダービーに敗れると(1-3)、その不振は「スランプではなく衰退の証」とメディアで報じられた。
首位で折り返したマンUもルーニーの移籍志願に大揺れ。
代わって首位に立ったマンチェスターUも、ディミタル・ベルバトフが15節ブラックバーン戦(7-1)で5得点を記録してプレミア史に名を刻んだが(史上4人目)、主砲のウェイン・ルーニーのコンディション不良により18試合で16ポイントを落としている。10月後半には、そのルーニーの移籍志願でチームが揺れた。結果的には待遇改善による契約延長に落ち着いたが、エースによる「まさか」の謀反は今季前半で最も衝撃的な事件だった。同時にこの一件は、「クラブよりも重要な個人などいない」が持論のアレックス・ファーガソン監督でさえ処分(つまり売却)に踏み切れなかったほど、マンUがルーニーに依存していることを世に知らしめた。
アーセナルは、中枢のセスク・ファブレガスが故障がちだったにもかかわらず、19節までにリーグ最高(マンUとタイ)の39得点をあげた。16節フルアム戦(2-1)での2ゴールに代表されるサミール・ナスリの個人技は、アーセン・ベンゲル監督が「天賦の才の成せる業だ」と驚嘆するほど鮮やかだった。懸案であるトップクラスのボランチとGKを獲得していれば、3位ではなく首位で年を越すことが出来ただろう。