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まさに「予測不能」の展開続き!
混戦となったプレミア前半戦を総括。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byAction Images/AFLO

posted2011/01/08 08:01

まさに「予測不能」の展開続き!混戦となったプレミア前半戦を総括。<Number Web> photograph by Action Images/AFLO

今季プレミアに新加入した選手のなかで、最も輝きを見せたトッテナムのファンデルファールト。CLベスト16ではイタリアの名門・ミランに対して、どのようなプレーを見せるか

補強成功のマンCとトッテナムも優勝候補に躍り出た!

 優勝候補に加わったマンチェスターCとトッテナムは、例外的に補強に成功した口だ。

 マンCは首位のマンUと勝ち点で並び、得失点差による2位で後半戦に突入した。開幕から2カ月弱でヤヤ・トゥーレがトップ下に入る4-2-3-1が基本的なフォーメーションとして安定して機能するようになり、序盤戦はプレミアのスピードとフィジカルに苦戦したダビド・シルバも、11月辺りからはチャンスメイカーとして毎試合のようにMVP候補に挙がるプレーを見せるようになった。

 但し、マンCの両名もトッテナムのラファエル・ファンデルファールトのインパクトには敵わない。リーグ戦14試合で8ゴール6アシストを決めたオランダ代表MFは、後半戦突入を待たずに「今季最高の新戦力」との評価を勝ち取った。チームとしても、北ロンドンダービーでアーセナルに撃ち勝って(3-2)勢いに乗り、4位チェルシーに1ポイント差の5位で前半戦を終えた。初出場のCLでもグループ首位で16強入りを果たしたことから、指揮官のハリー・レドナップは次期イングランド代表監督候補の筆頭に躍り出た。

 そのレドナップは、「奇跡を起こしている」としてブラックプールのイアン・ホロウェイを今季の最優秀監督に推している。昇格組のブラックプールは、最弱と目されながらも攻撃的スタイルを貫いて8位で新年を迎えた、前半最大の“サプライズ”だ。

 同じく昇格組のニューカッスルでは、空中戦の強さを武器に11得点をあげたアンディ・キャロルが、プミレアで最もホットなCFとして一躍脚光を浴びた。キャロルを若きエースに仕立て上げ、結束の固いチームを作り上げた監督のクリス・ヒュートンは16節直後に解雇されたが、この人事は、その翌週にブラックバーンで勃発したサム・アラダイス解任劇を上回る、前半最大のプレミア経営陣による「迷断」だと言える。

監督の去就問題が優勝レースの行方を左右する。

 さて、注目の後半戦だが、5頭立て(マンU、マンC、アーセナル、チェルシー、トッテナム)のタイトルレースでは、マンUが僅かに有利と見られている。本調子ではなかった前半戦も20チーム中唯一の無敗で乗り切っている上、終盤に優勝をさらうレース展開を十八番としているからだ。例年熾烈を極めるサバイバルレースでは、前半戦の大半を降格圏内で過ごし、監督に解雇の噂が耐えないウェストハム、ウルブズ、ウィガンが降格の有力候補と見られる。

 もっとも、前半戦のトレンドが続けば予想通りに事は運ばないということになる。残留争いの泥沼に、補強失敗による出遅れを取り戻して然るべきリバプールとアストンビラがはまる可能性もゼロではない。

 優勝候補の監督の首が飛んでも不思議ではない。マンCでは、大黒柱のカルロス・テベスが再び不満と移籍の意思を口にすれば、ロベルト・マンチーニの首筋が寒くなる。チェルシーでは、マラリアで調子を落としたディディエ・ドログバと19節で4カ月ぶりのスタメン復帰を果たしたフランク・ランパードの復調が遅れてポイントを落とし続ければ、カルロ・アンチェロッティがワンマンオーナーの“裁き”を受けかねない。監督の去就問題で動揺したチームが、早々に優勝争いから脱落する可能性もある。

【次ページ】 ベッカム獲得が噂されるトッテナムが50年ぶりの優勝!?

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