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今秋、凱旋門賞で武兄弟対決なるか?
メイショウマンボ陣営を結ぶ“キズナ”。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/02/01 08:20
JRA賞の授賞式で見せた2ショット。兄の豊はこの授賞式の前日にJRA通算3600勝を挙げている。
1月27日、都内のホテルで2013年度JRA賞授賞式が行われた。500人を超える関係者が集まった会場が最も沸いたのは、最優秀3歳牝馬に選ばれたメイショウマンボの松本好雄オーナーが壇上でこう言ったときだった。
「幸四郎がどうしてもキズナの兄さんと一緒にやりたいと言うので、春は天皇賞に向かいます。秋は、キズナが行くなら凱旋門賞にも一緒に行きます」
「幸四郎」とは武幸四郎。「キズナの兄さん」とは、もちろん武豊のことだ。
多少のリップサービスが含まれているにせよ、実に粋なコメントである。
サムソンの無念を、マンボは晴らせるか。
松本オーナーは、かつて所有したメイショウサムソンを2007年の凱旋門賞に参戦させる予定だったが、突如発生した馬インフルエンザの影響で断念。翌'08年に出走させるも10着に惨敗という悔しい思いをしている。タラレバだが、'07年の天皇賞・秋を制した強さを思い返すほどに、もしあのタイミングで凱旋門賞に出走できていれば……と、オーナーでなくともため息が出る。
メイショウマンボは、昨年、オークス、秋華賞、そしてエリザベス女王杯とGIを3勝した実績もさることながら、直線で抜け出す速さやゴールに向かう迫力なども、ウオッカやブエナビスタといった、競馬史に残る名牝に匹敵するものを持っている。
力のいるロンシャン競馬場では、牡馬より軽い斤量で出られるアドバンテージが日本で走るときより大きくなる。今年も凱旋門賞出走を予定しているキズナの最大のライバルは、昨年の覇者トレヴではなく、この馬かもしれない。
その「武豊・キズナvs.武幸四郎・メイショウマンボ」という超豪華対決が初めて実現するのは、4月6日の大阪杯(阪神芝2000m、GII)になりそうだ。これは間違いなくGI級に盛り上がるだろう。