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今秋、凱旋門賞で武兄弟対決なるか?
メイショウマンボ陣営を結ぶ“キズナ”。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/02/01 08:20
JRA賞の授賞式で見せた2ショット。兄の豊はこの授賞式の前日にJRA通算3600勝を挙げている。
飯田祐史調教師、開業初年度で凱旋門賞挑戦か。
今現在メイショウマンボを管理しているのは飯田明弘調教師なのだが、同師は2月一杯で引退するため、3月からは、息子で、昨年騎手を引退し調教師免許を取得した飯田祐史調教師が管理者となる。現在技術調教師として働いている彼は、順調に行けば、厩舎開業初年度に管理馬を凱旋門賞に出走させることになるのだ。
「凱旋門賞に関しては、まだなんとも言えません。ぼくが今考えているのは、とにかく無事に、ということだけです」
JRA賞授賞式につづいて行われたパーティー会場で、彼はそう話した。15年ほど前、武豊とともに年末年始、アメリカ西海岸のサンタアニタパーク競馬場に遠征。そして昨春、シャンティーのパスカル・バリー厩舎で2カ月ほど研修し、ヨーロッパの競馬を肌で学んできた。そう、昨年の凱旋門賞でキズナを受け入れた厩舎である。
メイショウマンボの血統を知り尽くしたホースマン。
まだメイショウマンボが凱旋門賞に挑戦することはもちろん、彼がマンボを管理するかどうかも決まっていなかったのに、今振り返ると、しっかり準備をしていたことになる。彼は、マンボの母メイショウモモカと祖母メイショウアヤメのほぼすべてのレースで手綱をとってきた。この血統を誰よりも知悉するホースマンなのだ。
騎手時代から親しかった私は、あちこちで「飯田祐史は調教師になったら絶対成功するよ」と言ってきた。理由は、彼が馬と人間が大好きで、どの馬、どの人間に対しても真剣に向き合っていることがビンビン伝わってくる男だからだ。昨年、本稿にレポートを書くためセレクトセール会場を訪ねたとき、フランスから戻ったばかりで北海道の馬産地めぐりをしていた彼に会い、ずっと一緒にセリを見ていた。
「まだ当歳馬や1歳馬の馬体の見方を勉強中なので、血統だけで自分なりに評価をしてきました」
と、読み込んであちこち折れ曲がった上場馬のカタログを見せてくれた。