アーセナル相手に、前半から畳み掛けるサウサンプトン。

　前半から波に乗るサウサンプトン。ゆったりとしたペースで試合に入ってきたアーセナルに対して、畳み掛けるように攻め込んでいった。

　左右両サイドにうまく展開しながらボールを敵陣に運ぶ。前線では新鋭FWギャラガーが、裏のスペースを突く動きと懐の深いボールキープを使いこなしながら、1トップとしての役割を果たしていた。その背後ではチームの大黒柱ララーナが、この日も巧みなテクニックと運動量でサポート。またボールを奪われても、スティーブン・デイビスとコーク、そしてシュネイデルランの中盤勢が相手ボールと選手を追い回し、完全にアーセナルのリズムを狂わすことに成功していた。

　吉田も試合開始から頻繁にボールを触り、攻撃のビルドアップの始発点として積極的にチームの流れに関わっていった。

　そして守備では、相手エースとのせめぎ合いが本格的に始まろうとしていた。

吉田の相手は、ジルーとエジルのコンビ。

　吉田の相手は、フランス代表のストライカー、ジルー。今季ここまでチーム得点王の9点を挙げ、好調アーセナル攻撃陣を最前線で引っ張る大型FWとのマッチアップが、ここから続いた。

　最初のコンタクトは8分。空中戦の場面でジルーが吉田の前に体を入れたが、ボールが落下するより前に吉田が相手に体をぶつけ、体勢を有利な状態に。ジルーは頭でボールには触ったが、結局コントロールすることはできなかった。さらにその後もポジショニングで先手を取る吉田が、ジルーを抑え込んでいく。長身FWに身体をかぶせられても、その頭の上からヘディングで跳ね返し、また後ろ向きに走りながらもしっかりパスコースに入り、ドイツ代表MFエジルからジルーへの際どいパスをカットする場面もあった。

　ジルーとともに要注意だったのが、エジルである。言わずと知れた、現在世界でもトップレベルのプレーメーカーだ。ただ、前半はサウサンプトンのチーム全体の守備意識もあり、うまくこの創造的なレフティを封じることに成功していた。

【次ページ】　“サッカー”をするアーセナルは吉田の得意な相手。