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マー君のメジャー移籍へ至る、
プロ野球過去10年の“実態”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNaoya Sanuki
posted2014/01/10 10:41
日本シリーズを制した楽天。試合後のお立ち台では、星野監督が珍しく超満員のスタンドに「春から来てよ」と冗談を飛ばしたが、パ・リーグの観客動員は右肩上がりだ。
「10年」という時間で何かを言い表すとき「ディケイド」という言葉が用いられる。
たとえば「70年代、80年代、90年代、2000年代4つのディケイドでヒットチャート1位に輝いた女性アーティストは中島みゆきだけ」という具合に使われる。2001~2010年というくくり方をするのが一般的だが、今回は「2004年の球界再編騒動から10年」という大まかな区切り方で野球界の変化を見ていきたい。この10年間で何が起こって、それによってプロ野球界はどのように変っていったのか、新年らしく盛りだくさんの話題を紹介しながら過去10年を振り返ってみたい。
観客数の実数発表でわかったパ・リーグの頑張り。
'05年以降、試合ごとの観客数は実数発表になった。
それ以前はホームチームが発表した数がカウントされ、'04年に東京ドームで行われた巨人戦ならすべて「5万5000人」と発表された。その結果、'04年のセ・リーグ観客動員ランキングは、
(1)巨人 374万4500人
(2)阪神 352万3000人
(3)中日 233万500人
(4)ヤクルト 168万6000人
(5)横浜 150万人
(6)広島 98万6000
となった。それが翌'05年から実数発表になると次のように変っていく。
(1)阪神 313万2224人
(2)巨人 292万2093人
(3)中日 228万4400人
(4)ヤクルト 130万7731人
(5)広島 105万119人
(6)横浜 97万6004人
「1位阪神、2位巨人」はその後、'11年まで8年間続き、巨人が日本一を奪還した'12年、ようやく「1位巨人290万3947人、2位阪神272万7790人」と巨人が首位の座を奪還、'13年も「1位巨人300万8197人、2位阪神277万1603人」と巨人優位に推移している。
それにしても'04年までは、巨人の観客動員数1位は絶対に崩せない牙城だった。それが実数発表によって東西の人気球団が競り合う形が生まれた。息苦しかった球界に小さいが風穴が1つ空いたと思った。
セ・リーグとパ・リーグではどうだろう。
*'04年……セ=1377万人→この年まで水増し発表
パ=1068万4000人
◇'05年……セ=1167万2571人→この年から実数発表
パ=825万2042人
◇'13年……セ=1220万2009人
パ=984万5482人