詳説日本野球研究BACK NUMBER
マー君のメジャー移籍へ至る、
プロ野球過去10年の“実態”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNaoya Sanuki
posted2014/01/10 10:41
日本シリーズを制した楽天。試合後のお立ち台では、星野監督が珍しく超満員のスタンドに「春から来てよ」と冗談を飛ばしたが、パ・リーグの観客動員は右肩上がりだ。
かつては3Aクラスといわれた日本野球だったが。
かつて日本のプロ野球は3Aクラスと位置づけられ、来日する選手も3Aクラスの選手がほとんどだった。それが、昨年優勝した楽天にはメジャー通算1933安打、434本塁打を記録したジョーンズと、'10年に打率.285、23本塁打、104打点を挙げているマギーが入団して、揃って期待に違わぬ活躍をした。
楽天にはメジャーで7年間プレーし、通算615安打を放っている松井稼頭央がショートのレギュラーとしてプレーし、リリーフには同じくメジャーで21勝15敗、84セーブを記録した斎藤隆が控えている。
10年前と現在の大きな違いは、彼らのような日本人元メジャーリーガーが各チームに分散していることだ。そういう状況の中で、昔のように日本の野球をなめてプレーする外国人選手が本当に少なくなった。
そして、ジョーンズとマギーが大きな力となって楽天は球団創立9年目にして初のリーグ優勝、初の日本一に輝いた。'04年以降の最も大きな出来事と言えば9年前の新設球団、楽天が優勝したことだろう。
4カ月のゴタゴタの末、楽天は誕生した。
球界再編騒動は巨人やパ・リーグ各球団を中心とする1リーグ制を導入しようとする勢力に対して、選手会やファンが絶対反対の立場を取り激しく対立するところから始まった。毎年、30億円とも言われる赤字を計上していた近鉄はオリックスとの合併を余儀なくされ、ロッテ、ダイエー(現ソフトバンク)などパ・リーグ各球団にも合併の動きはあった。
1リーグ制への移行は多くの選手から働く場所を奪い、ファンの側からすれば愛着のあるチームの消滅をも意味する。さらにプロ野球界の縮小はアマチュア球児の受け皿を縮小し、国際競争力を弱めることにもなる。私のような野球ファンにはこの2つが最も許せないことだった。
約4カ月、日本中を巻き込んだ球界再編騒動の末に、55年の歴史を持つ近鉄が消滅(オリックスと合併)、代わりに宮城県仙台市を本拠地とする楽天イーグルス(正式名称・東北楽天ゴールデンイーグルス)が産み出された。