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「至宝」が大器の片鱗を見せた1年目。
南野拓実が追いかける柿谷の背中。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORTS
posted2013/12/12 10:30
清武、柿谷と引き継がれてきた背番号13を背負う、南野拓実。世代別代表にも選ばれ、将来を嘱望される存在である。
「曜一朗クンを近くで見れたことは収穫」
とはいえプロ1年目、慣れないサイドでプレーすることで収穫も多かったはずだ。
「サイドでプレーすることで、自分に足りないものがハッキリ見えました。サイドは運動量が求められるんですが、自分は後半に代えられることが多いんで、体力的にまだまだ足りない。守備もようやく少しできるようになってきた。ミドルレンジのシュートも意識してやってきたけど、精度が足りない。それらに前向きに取り組んできたので、自分のプレーの幅が広がったことは大きな収穫でした」
だが、南野にとって最大の収穫は、今シーズンブレイクしたエース柿谷のプレーを間近で見れたことだろう。
「そうですね。曜一朗クンの何がすごいのかっていうと、決めるところ。決定力がすごいんで、本当に勉強になります。ゴール以外にも動き出しの速さとか、トラップの置き方、シュートまでもっていくイメージとか、本当にすごい先輩なんで、そういうお手本を近くで見れたことは自分にとって大きな収穫だったですね」
「セレッソの至宝」は柿谷を追いかける。
ルーキーイヤーが終わり、来シーズンは自分へのマークも厳しさが増していくだろう。二桁ゴールも宿題として残っている。
「自分は、曜一朗クンの近くでプレーしたいと思っていますので、そういう意味ではサイドよりもトップ下でプレーしたいという気持ちは強いです。ただ、自分はポジションをどうこう言える選手じゃない。与えられたところで結果を出さないといけないので、そこで勝負するだけですね。
あと、曜一朗クンの決定力を見習って、自分もそこを高めていきたいですね。とにかく、ゴールにはこだわっていきたいです。自分が二桁のゴールを挙げられれば、優勝争いに絡めると思うんです。1点でも多く奪って、1つでも多くのタイトルを取りたいと思っています」
「セレッソの至宝」と称され、騒がれた初年度は、その輝きの一端を披露することができた。だが、荒削りなプレーは、まだ発展途上でもある。柿谷がプロ入りから完全にブレイクするまでにかかった時間は8年。彼を師と仰ぐ南野は、果たして何年で追い付くことができるか。