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「至宝」が大器の片鱗を見せた1年目。
南野拓実が追いかける柿谷の背中。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORTS
posted2013/12/12 10:30
清武、柿谷と引き継がれてきた背番号13を背負う、南野拓実。世代別代表にも選ばれ、将来を嘱望される存在である。
前向きな思考でケガさえも成長の糧に。
もともと能力が高い選手。キッカケさえ掴めば未知のポジションでさえも自分のモノにしていくことができる。だがそれから1カ月後、これからというときに左膝内側側副靭帯単独損傷という怪我を負った。全治6週間だったが、9月28日の磐田戦で復帰。つづく大分戦ではスタメン復帰を果たして、3カ月ぶりのゴールを決めた。
「ケガをしていた時は苦しかったですけど、自分のプレーやコンディションとかを見直すいい時間になりました。外から試合を見ることで気付くこともたくさんありましたし、こうしてプレーした方がいいなとか、いろいろとヒントを得ることも多かった。これも今後に繋がるための試練かなって思って受け止めていたので、自分にとっては決してマイナスにならなかったです」
大分戦以降は毎試合スタメン出場を果たし、最終節の浦和戦では2ゴールを挙げ、チームを4位に押し上げる活躍をみせた。
「5点というのは本当に物足りないです」
「1点目は、曜一朗クンのシュートが当たってこぼれてきたのを決めるだけだったので、ごっつぁんゴールでした。2点目は、今季自分に足りないものだと意識していたゴールだったので良かったです。来シーズンに繋がるゴールだった思います」
南野が嬉しそうな笑みを浮かべたのは、決めたのがミドルシュートだったからだ。今シーズン、サイドに置かれた南野は必然的にシュートチャンスとゴール数が減った。そのため「ミドルレンジのシュートが重要」と、その課題に取り組んできた。その練習の成果を今シーズン最後の試合で披露することができた。
「自分の思うようなゴールを奪えたのは良かったですけど、まだまだ足りないものだらけです。この試合でももう1、2点は取れていた。決定力が足りないですね」
今シーズンの南野の成績は、29試合5ゴール。ユース時代はゴールを量産していたので、5点は納得できない数字なのだろう。
「全然ダメです。自分が二桁取っていれば、順位は変わっていたと思うし、優勝も狙えたかもしれない。ゴールという数字には、ユース時代からずっとこだわってきたので、5点というのは本当に物足りないです」
南野は、厳しい表情でそう言った。