詳説日本野球研究BACK NUMBER
“一軍定着人数”から考える、
各球団の新陳代謝のクオリティ。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/12/12 10:30
8月23日の巨人戦で本塁打を放つDeNA・梶谷隆幸。この月は、王貞治、山本浩二、江藤智に並んでセ・リーグ歴代2位となる月間31得点を記録。11月の小久保JAPANでも主戦力となった。
『2014年版 プロ野球スカウティングレポート』(廣済堂出版)の発行に向けて現在、12球団の投手、野手をAランク(3人)とBランク(8人)に分け、各種データに沿った解説をつける準備をしている。
投手ならボールカウント別、野手なら走者別などでどのような成績を残したか、打つ形、投げる形なども交えてできるだけ懇切丁寧に解説する。
難しいのは2013年にポンと飛び出した選手の解説だ。たとえば、初めてBランク以上で取り上げる西野勇士(ロッテ・投手)、中村晃(ソフトバンク・一塁&外野手)、岡田俊哉(中日・投手)、梶谷隆幸(DeNA・内野手)たちはアマチュア時代のパフォーマンスとともに紹介するのだが、梶谷などはアマチュア時代はもちろん、昨年と比較しても別人の変わりようでどのように紹介していいのか非常に迷う。
過去2年間、梶谷の成績は次の通りだ。
2012年 80試合、打率.179(40安打)、2本塁打、11打点
2013年 77試合、打率.346(88安打)、16本塁打、44打点
7年目に突如覚醒した梶谷、想定外の高打率。
開星高(島根)時代の'06年夏に甲子園大会に出場し注目を集めたが、スカウトが目をとめたのは遊撃手としての守備や走塁の俊敏さで、バッティングは力強さに欠け、プロでモノになるには相当な年数がかかると言われていた。それが突如覚醒し、それまでの通算成績を大きく上回る好成績を挙げたのだ。
Webサイト「高校野球ドットコム」の取材で梶谷の話を聞く機会があり、その折、本人は「ホームランの数には驚かないが、想定外だったのは3割4分6厘の高打率」だと言っていた。梶谷のような想定外の変身があってチームは初めて新陳代謝を行いながら前へ進んでいけるのだが、中には若手・中堅が飛び出してこない球団もある。
若手・中堅が飛び出しやすいのはどこか、あるいは飛び出しにくいのはどこか、'09年以降過去5年間の二軍から昇格した選手の“一軍定着人数”を調べてみた。日本一に敬意を表し、まずは楽天の過去5年間を紹介しよう。