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清水で完全復活を遂げた小野伸二。
2010年の心残りは天皇杯で晴らす!
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byToshiya Kondo
posted2010/12/28 10:30
背番号は清水入団時の年齢30歳からとった「30」。ベテランとして、リーダーとしての自覚溢れるプレーが小野を輝かせる
インサイドハーフへの転換が小野の能力を引き出した。
元々、ボールを扱う技術は日本一、非凡なパスセンスもある。プレーにようやく肉体が追い付いた感もあるが、その能力は攻撃的なポジションでこそ生きる。小野が、活躍できた二つめの理由は、このポジションにあった。
「インサイドハーフは、初めてだったけど、やってみると攻守両面、かなりハードワークが要求される。でも、コンディションがいいんで走れているし、走れているからこそ楽しくやれた。動けなかったらこのポジションは出来なかったと思う」
今シーズン、清水はヨンセンをトップに置いた4-3-3のシステムを採っていた。小野は、インサイドハーフのポジションを兵働昭弘とともに任され、アンカーの本田拓也とともに攻守のバランスを取る舵取り役を担った。
その役がハマった。
完全復活した小野は、夏まで首位を快走した清水躍進の立役者となったのである。
「夏までは出来すぎなぐらいチームも自分も好調だった。でも、夏本番になると自分もチームもイイ結果が出なかった。足が止まって動けなくなり、負けが続いて自信を失ってしまった。前年と同じように失速してしまったけど、自分としてはイイ勉強になった」
快調に飛ばしていた小野の足を止めたのは、日本の夏だ。欧州の夏は非常に暑いが湿気がなく、夜なら心地よくプレーができる。だが、日本の夏は、「とても90分できる状況じゃなかった」と言うように蒸し暑く、欧州帰りの身体から容赦なく体力を奪っていった。それにともないパフォーマンスも低下、チームも下降線を辿っていったのである。
リーダーシップとゴール数の物足りなさは来季の課題。
「チームが厳しい状況になった時、自分がリーダーとしてチームを引っ張ることができるかどうか。自分がエスパルスに来たのは、そういう部分も求められていたからだと思うけど、そこはまだまだだった。遠慮はなかったけど、もうひとつ自分が前に出ることが出来なかったのは反省として、来季の課題にしていきたいと思う」
また、ゴール数も物足りなかった。ボーフム時代は2年間で得点ゼロに終わり、清水ではゴールを期待されたが、今季は2ゴール。シュートが本職のFWの選手以上にうまく、30試合もの出場機会を考えると、ちょっと寂しい数字ではある。
「確かに、ゴール数は少ないとは感じています。たぶん、もっと取れたと思うし、取れるチャンスもあった。苦しい時に得点してチームを助けたり、得点に絡むという部分が足りなかった。自分が10ゴールぐらい挙げていれば、もしかしたら優勝できたかもしれないし、3位内に入ってACLの出場権は獲得できたかもしれない。来季は、もっとゴール前に飛び込んでいけたらいいなと思うし、そういうイメージでやっていきたい」