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菊花賞、“1強”エピファの死角は?
最後の一冠、淀の3000mに潜む魔物。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byEiichi Yamane/AFLO
posted2013/10/19 08:01
2400mの前哨戦では折り合いの不安が解消したかに見えたエピファネイア。3000mの菊花賞で、じっくりと脚をためられるだろうか。
1993年、ビワハヤヒデの時に似たムード。
皐月賞、ダービーともに2着となった馬が菊花賞を勝てば、1993年のビワハヤヒデ以来20年ぶりのこととなる。20年前は、武豊のナリタタイシンが皐月賞、柴田政人のウイニングチケットがダービー、そして岡部幸雄が乗ったビワが菊花賞と、「三強」が綺麗に三冠を勝ち分けた。デムーロ兄弟が乗ったロゴタイプ、武のキズナ、そして福永のエピファネイアと、人馬ともに「三強」の役者が揃った今年のクラシックのムードは、確かに'93年に似ているかもしれない。
騎手ということでは、福永は、毎年のようにGIを勝っていながら、意外なことに牡馬クラシックは未勝利である。ここでめでたく初制覇となるか、それとも――。
と、あれこれ書いたが、筆者のように、今後、同期のキズナやロゴタイプ、コディーノらとの対決が盛り上がってほしいと思っている立場から言わせてもらうと、エピファネイアは「菊花賞を勝たなければならない馬」である。ダービーで激しく叩き合ったキズナが、フランスの3歳限定GIIのニエル賞を勝ち、世界最高峰の凱旋門賞で4着になったのだから、「鬼」のいないここはブッちぎってほしい。
長距離は、騎手の腕がモノを言う。
昔から「長距離は騎手の腕がモノを言う」と言われている。菊花賞で最多の4勝を挙げているのは武豊で、今年はマジェスティハーツ(父ハーツクライ、栗東・松永昌博厩舎)の手綱をとる。
マジェスティハーツは、6月に500万下、7月に1000万下を勝ち、神戸新聞杯で2着となって菊の出走権を手にした上がり馬だ。神戸新聞杯ではメンバー最速の33秒6の末脚で、前をゴボウ抜きにした。
本番でも、エピファネイアをマークして後方につけ、エピファが前の馬を負かしに動くのを待ち、仕掛けをワンテンポ遅らせて末脚勝負に出ると思われる。「先に動く福永と、それをマークする武」というのも見どころになりそうだ。