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<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTsutomu Kishimoto

posted2010/12/21 06:00

<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

プレー経験が代理人としての仕事にもたらすメリット。

 ドイツメディアからの取材にドイツ語で答えるほどの力を持ち、クロートとのコミュニケーションにも苦労することはない長谷部も、クロートの代理人としての資質を評価する。

「トーマスは元ドイツ代表選手でしょ。選手出身ということで色んな所に顔が広い。それは代理人をやるうえですごく重要だと思う」

 クロートは、ドイツ代表としてもプレーしたプロサッカー選手だった。2部(当時)のキッカーズ・オッフェンバッハでキャリアをスタートさせ、1FCケルン、ハンブルガーSVなどを渡り歩き、ドルトムントで選手としてのキャリアを終えた。そしてリトバルスキーの代理人として1992年に第2の人生を踏み出し、ドルトムントに会社を設立。現在ではドイツ全土に4つのオフィスを構え、国内だけでなく、スペイン、フランス、オランダ、クロアチアなど、ヨーロッパ各国に独自のネットワークを持つに至っている。

 ブンデスリーガでプレーした経験が、現在のキャリアにもたらすメリットについて尋ねると、クロートは自信をにおわせて、こう答えた。

「私は、ツォルク、マガト、アロフスと一緒にプレーして、ヘーネス兄弟とも対戦したことがあるんだ。その経験が役に立っているのは間違いないだろうね」

ブンデスリーガ1部で契約を手がける選手は21人。

 ミヒャエル・ツォルクはドルトムントのスポーツディレクター、フェリックス・マガトはシャルケの監督、クラウス・アロフスはブレーメンのGMだ。ヘーネス兄弟とは、バイエルンの会長であるウリ・ヘーネスとヴォルフスブルクのディーター・ヘーネスGMのことである。クロートは彼らと共に戦い、ピッチ上で激しく火花を散らした。現役時代からの関係が、移籍市場という新たなフィールドでも、活かされていることは想像に難くない。

 現在ブンデスリーガ1部の選手で、クロートが契約を手がけている選手は21人に及ぶが、その選手からの信頼が厚いことでも有名だ。

「トーマスとは、もう10年以上の付き合いになるかな。彼とは厚い友情のようなもので結ばれているんだ。常に正しいことを僕のためにしてくれる。だからこそ、彼への信頼は増していくばかりだよ」

 こう語るのはフランクフルトのオカ・ニコロフ。36歳のベテランGKは、1994年にプロデビューしてからフランクフルト一筋。ブンデスリーガの現役の選手のなかで、最も長い間、一つのクラブでプレーしている選手でもある。

 また非常に若い時からプレーを見続けることにより、信頼関係を築いている選手も多い。ドイツ代表でも背番号1を背負うシャルケのマヌエル・ノイアーもその一人。クロートの抱える選手の中で最も将来を嘱望されているノイアーは、試合で見せる険しい表情とは打って変わって笑顔で語った。

【次ページ】 長谷部にクロートの評判について尋ねると……。

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