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<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2010/12/21 06:00
「日本人の選手はプロフェッショナルなんだよ」
「元々、私が日本と関わることになったのは、リティをジェフ市原(当時)に移籍させたことが切っ掛けだったんだけれど、何より日本人選手がファンタスティックなパスを出せることが理由の一つだ。長谷部、小野、高原……すべての選手に共通している。それから、彼らのサッカーに取り組む姿勢だね。彼らはファイトできるし、チームのために100%を尽くす。例えば、シーズンが終わると、日本人選手はまず、クールダウンをして、バカンスで沖縄に行ってもそこでマッサージを受けたり、少しランニングしたり……。でも、多くのドイツ人の場合は、オフの初日からビーチに行ってしまう(笑)。日本人の選手はプロフェッショナルなんだよ」
そんな日本人がブンデスリーガに適応するために乗り越えなければいけないのは、フィジカルの向上、ドイツ語を覚えること、そして日本とは異なる食事の問題だという。
「先日、(香川)真司と話していたら『もっとも難しいのは食事だ』と言っていた。そんな時、私は良い日本食レストランを見つけてあげる。我々が24時間体制で選手を助けてあげることで彼らは孤独を感じなくなるんだ」
「最も重要なのは若いこと。28とか29だと少し遅すぎる」
クロートはこれからも、日本人選手の移籍を手掛けていくつもりだ。
「私がクラブに日本人選手を紹介しても、これまでは結構時間がかかった。でも、今はクラブが興味を持っているからね。だから、ブンデスのクラブにこれからも売り込むつもりだ。最も重要なのは若いこと。28とか29だと少し遅すぎる。真司や内田のように、21、22歳くらいまでの間に移籍できればベストだ。今度、9月末には日本に行くんだよ。いくつかリストを持って、日本人選手を視察するつもりだ。そして、彼らのエージェントとも話をする。もちろん、可能なら選手とも話をするつもりだ。顔をあわせて話をすることが重要だからね」
ブンデスリーガに日本人が次々とやってくるこの流れは、まだ止みそうにない。
トーマス・クロート(Thomas KROTH)
1959年8月26日、ドイツ・エアレンバッハ生まれ。'77年に当時2部のキッカーズ・オッフェンバッハでプロデビュー。1FCケルン、HSVなどを経てドルトムントで現役を引退。ドイツ代表でもプレー。引退後、代理人として活躍し、多くの日本人選手のマネジメントに携わる