サッカーの尻尾BACK NUMBER
天才MFが多すぎてCFが決まらない!?
スペイン代表の抱える贅沢な裏事情。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAction Images/AFLO
posted2013/10/11 11:30
プレミアで一際目を引くパスサッカーを展開する、スウォンジーの中心選手ミチュ。185cmの体躯ながら、動き出しとファーストタッチにこそ特徴があるスペイン人らしいFW。
新戦力で最も注目されているミチュ。
トーレスやビジャらは明らかに本調子ではないけれど、たとえばソルダードは昨今の代表戦でもいいパフォーマンスを見せていたし、コンフェデレーションズカップでも一定の評価を得ていた。実際のデルボスケの考えはまた違ったものなのだろうけれど、世論の現実はこうなのである。
新戦力という意味で、今合宿で最も注目されていたのはミチュだった。
合流してはじめてのミニゲームでのこと。ミチュに後方から強い縦パスが入った。するとミチュはボールの勢いを弱めることなくしなやかに前方へのトラップでスペースに抜け出し、カシージャスを相手にあっさりとゴールを決めた。
本来はCFというよりはトップ下、セカンドトップというタイプの選手だ。足下も柔らかく、テクニックも高いレベルにある。エリア内で待ち、来たボールを仕留める典型的なCFよりも、トータル面での技術を重視するデルボスケ好みの選手とも言える。国民の期待通り、意外とすんなりチームにとけ込むかもしれない。
ちなみにこの2試合でFWとして招集されているのはミチュとネグレドだけだ。普通に考えればミチュにも出番はあるだろうが、そうはいかないのが現在のスペインでもある。
実際の試合では、冒頭のアンケートには入っていない選手をデルボスケがCFとして起用するからだ。
デルボスケは、MFを最前線で起用することが多い。
セスクだけでなく、コンフェデ杯ではペドロまでCFを務めていたように、デルボスケはMFを最前線で起用することが多い。指揮官の序列としては、むしろネグレドよりもミチュよりも、セスクの方が上かもしれない。
生粋のFWを2人しか選ばない理由のひとつは、スペインの2列目が人員過剰で大渋滞となっているからだ。
セスクに加え、マタ、シルバ、イニエスタ、イスコ、ペドロと、セカンドトップやウイングをこなせる攻撃的MFに関しては有り余っている。他にもカソルラやチアゴら、今回は不在の選手もいる。