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カカ、ミラン復帰も続く苦難の道。
ブランクを示す“なめらかな”背中。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/09/21 08:01

カカ、ミラン復帰も続く苦難の道。ブランクを示す“なめらかな”背中。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

ミランで苦悩の日々を過ごすカカ。かつてバロンドールの栄誉を手繰り寄せた地で、再び輝きを放つ日は訪れるのか。

4年間のブランクを示す、「なめらかな」背中。

 カカの全盛期を知るチームメイトは、もはやGKアッビアーティとDFボネーラのベテラン2人だけだ。そもそもカカ本人が故障がちでは、エースFWバロテッリやMFモントリーボらチームの中核と連携の深化もままならない。カカの再デビュー戦は、急造チームとなったミランの脆さをも露呈したのだった。

 トリノ戦を中継したイタリアSKYのカメラを通して、キックオフ直前のロッカールームで着替えるカカを見たとき、妙な違和感があった。

 その端正な顔立ちに似つかわしく、カカの背中はモデルのようになめらかだった。

 つねにピッチに立ってきた男の背中になら、あって当然の擦り傷も打撲の痣も、何一つなかった。

 至高といわれるクラブに4年もいながら、体を張った競り合いをできなかったことをそのつるりとした背中が物語っていた。

求められるのはキレイ事ではなく、汚れ役の覚悟。

 復帰に際してカカは、「マルディーニや一流選手たちから多くのことを学んだ。今度はリーダーとして僕が若手に教える番だ」と、昔のように優等生発言を続けている。しかし、闘将コンテ率いる常勝ユベントスや、恐るべき破壊力を見せつけるナポリとの差は、キレイ事では埋まらない。

 10年前の爆発力を失ったカカが今、身に着けるべきは、キレイ事のリーダー論ではなく、リアルに目の前にいる相手からボールを奪う執念であり、汚れ役としての覚悟だ。タイトル獲得への勝負勘こそ、バロテッリやエルシャーラウィら次世代の選手たちへ伝えていくべきミランの伝統だろう。

 幸いなことに、背番号22の求心力は故障離脱中の今もなお絶大だ。カカが自らを、冷めても極上のスープに調理し直す時間はまだ残っている。

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