欧州サムライ戦記BACK NUMBER
内田篤人、「ポロッと」CL初得点。
シャルケを救った“嬉しくない”ゴール。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2013/09/19 12:00
悪い流れを断ち切るゴールを生んだ内田は、チームメイトに手厚い祝福を受けた。内田がチームを救ったのだと、誰もが感じていたに違いない。
CLに簡単な試合などない。
それはたぶん、真実だ。でも、グループステージ突破を目標に課されたチームには、絶対に勝たなければいけない試合がある。
UEFAのクラブランキングで14位のシャルケが、54位のステアウア・ブカレスト(ルーマニア)をホームに迎えた9月18日のグループステージ第1節は、そんな試合だった。
実際、シャルケは良い形で試合に入っていった。
9分に相手ペナルティエリア内で内田がボールをカットすると、シャライがシュートを放ちGKの正面をついた。14分には内田のクロスをファーサイドでボアテンクがヘディングシュートもGKに阻まれた。
しかし、こうした良い流れの中からゴールが奪えない。
31分、ステアウアのタナセがチーム初のシュートを放つと、シャルケのGKヒルデブラントはかろうじてこれをはじいた。
ここからステアウアが少しずつ、攻撃の時間を増やしていく。序盤のシャルケの勢いは消え、互角の戦いが繰り広げられる中で試合はハーフタイムを迎えた。
徐々に敵チームの攻勢が増していく中で、内田は……。
「まぁ、後ろの選手は耐えるだけですからね。(ブンデスリーガで)2試合連続で無失点だったし。自由にさせたら(相手チームに)良い選手がいますからそこは気をつけました」
そう語った内田は、0-0で迎えたハーフタイムのロッカールームの雰囲気も「静かだった」と記憶している。
後半に入ると、さらに流れが相手に傾いていく。
後半9分、相手のCKからのシュートはゴールライン上で内田がかろうじてクリアしたが、後半17分にもエリア内右サイドで相手FWポパをフリーにしてしまい、強烈なシュートを打たれた。これは左にそれていったものの、シャルケが後手に回るようになっていた。
シャルケの中盤の底と、前線の選手たちとの距離が開いていたため、相手が攻撃に来ても思うようにプレッシャーがかけられない。
守備がはまらないから、良い攻撃も望めない。