欧州サムライ戦記BACK NUMBER
長友佑都、ウイングハーフ猛勉強中。
知将マッツァーリも称賛したユーベ戦。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/09/17 12:30
テベスに競り負け、独走を許してしまった長友。しかし一度やられても、試合中に修正をして二度はやらせない修正力こそが長友の武器だ。
テベスに倒されピンチを招いた長友だが……。
拮抗した試合展開で、ユーベに決定的なチャンスをお膳立てしてしまったのは長友だった。
後半13分、中盤でFWテベスとボールを競り合った長友はあえなく倒される。ボールをキープしたテベスはフリーで独走、インテルのペナルティエリアに肉薄すると、ファーサイドに走りこんでいたMFビダルへ完璧なアシストを送る。
ビダルのシュートがわずかに外れたせいで、幸いにも失点は免れたが、ベンチのマッツァーリは激怒した。
ラインを高めに上げた3バックはリスクを伴う。自らの背後に1人のDFしかいないことを知っているはずのサイドプレーヤーが、あまりにも軽率にボールを奪われることを指揮官は最も嫌うのだ。
長友がマッチアップしたテベスは、屈強な体躯と足元のテクニックに優れ、プレミアリーグでも屈指のキープ力を誇ったファイターだ。彼を相手に一対一の競り合いで勝てる選手など世界中で数えるほどしかいない。
それでも、マッツァーリは“このレベルに順応せよ”と長友へ説いているのだ。
“インテンシティ”溢れた白熱の試合に!
後半28分、途中出場したインテルの“ユーベ・キラー”FWイカルディが先制点を挙げれば、2分後にユベントスのMFビダルがカウンターから同点弾を叩き込む。
ゲームのボルテージは上がる一方だった。残り15分を切る頃には、観る方も火傷するような白熱の展開。
かつて双方のチームで指揮をとったザッケローニ日本代表監督言うところの“Intensitá(=インテンシティ)”、つまり気迫の詰まった激しい好ゲーム。こういう試合を週末ごとに糧とする長友へ、ザッケローニが信頼を寄せるのは当然だろう。
後半37分、自陣へ突破してきたユベントスMFイスラに長友が体を投げ出して、泥臭く相手のファウルを誘った。テベスの独走を許した失態以降も、長友は脇を締めたまま、決してガードを緩めなかった。