欧州サムライ戦記BACK NUMBER
長友佑都、ウイングハーフ猛勉強中。
知将マッツァーリも称賛したユーベ戦。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/09/17 12:30
テベスに競り負け、独走を許してしまった長友。しかし一度やられても、試合中に修正をして二度はやらせない修正力こそが長友の武器だ。
地球の反対側で、長友佑都は進化する。
日本での代表2連戦に出場した後、ミラノへ戻った長友は、9月14日、セリエA王者ユベントスとの大一番“イタリア・ダービー”に臨んだ。
今季、新監督マッツァーリを迎えたインテルは、フォーメーションを3-5-1-1へと一新。3バックとサイド攻撃を信条とする指揮官によって、サイドバックから“メッツァーラ(=ウイングハーフ)”へと本格的にコンバートされた長友は、開幕から2戦連続ゴールを決めるなど、好発進したチームの原動力となっていた。
ただし、9位に終わったトラウマは根深く、ジェノアとカターニャ相手に連勝したところで、インテルが完全に自信を回復するには至らなかった。
自分たちが進んでいる道は正しいのか。トップとの実力差は本当に縮まったのか。
221回目(公式戦)のイタリア・ダービーは、新生インテルにとって自らへの疑念を払拭し、確信を得るための格好の試金石だった。
知将マッツァーリの薫陶を受けるウイングハーフの長友。
キックオフから小気味よいステップを刻んだ長友が、ビッグマッチのムードに乗る。
前半13分、インテル左CKの場面で、相手のクリアボールに反応した長友の左足ボレーシュートがブッフォンを襲った。ブラジルW杯出場を決めたばかりのイタリア代表の守護神をヒヤリとさせると、つづく37分にはパラシオの右クロスに飛び込んだ。
ウイングハーフにコンバートされた長友は、対となる右サイドのMFジョナタンとともに、監督マッツァーリから徹底した戦術指導を受けている。
どう走るか。
どこへ走るか。
いつ走るか。
ナポリを強豪へ躍進させた知将の手腕によって、ここぞという場面でのスプリント力とフィニッシュの精度に磨きをかけつつある長友には、ユーベ戦でも攻める気持ちが強く現れていた。
インテルとユベントスは、まるで鏡合わせのように、早いリズムでカウンターを打ち合った。後半に入っても、“相手へ1mたりとも陣地を譲らない”という気迫が互いに漲っていた。