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最後の直線と伏兵の猛追。
~MLBプレーオフ争いが佳境へ~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2013/09/07 08:01

最後の直線と伏兵の猛追。~MLBプレーオフ争いが佳境へ~<Number Web> photograph by Getty Images

8月21日、レイズ戦で本塁打を放つデイヴィス。オリオールズの命運は、この主砲の働きにかかっている。

史上初の2年連続三冠王に立ちはだかる男。

 もっとも、昨季のオリオールズは1点差ゲームに異様なほど強かった。38戦して29勝9敗というのはほとんど神がかりの数字だ。今季はそれが15勝25敗。ブルペンの弱さをはっきりと露呈した感じだが、この勝敗数がもし逆だったら、いまごろはプレーオフに余裕のリーチをかけているかもしれない。

 ただ、オリオールズの打線は相変わらず破壊力がある。本塁打総数=183本は大リーグ全体のトップだし、打点総数=626も、タイガース、レッドソックスに次いで大リーグ全体の3位につけている。

 主軸は、現在47本塁打(リーグ1位)のクリス・デイヴィスだ。史上初の2年連続三冠王を狙うミゲル・カブレラの前に立ちはだかっているだけでも賞賛に値するのだが、彼の魅力は固め打ちの特技だろう。今季の開幕4戦連続アーチは記憶に新しいし、6月には、9試合で7本塁打の荒稼ぎを見せて周囲を唖然とさせた実績があるのだ。この爆発力がシーズン終盤に来て再現されるようなら、チームの起爆剤になることは十分に考えられる。さらにいうなら、ロジャー・マリスがいまなお保持する「ア・リーグ最多本塁打記録」(61本)の更新も、あながち不可能というわけではない。

ブルペンに救世主が生まれれば猛追も。

 となると、問題はやはり投手力か。

 クリス・ティルマン、ミゲル・ゴンザレス、ジェイソン・ハメル、ウェイン・チェンの先発陣は、どうも冴えない。2桁勝利をあげているのはティルマンひとりだし、彼もふくめて、防御率は4点前後のていたらくだ(ハメルなどは5点台)。リーグトップの41セーヴをあげてきたジム・ジョンソンにしたところで、セーヴ機会を9度も吹き飛ばしているのは情けないし、防御率=3.45はけっして胸を張れる数字ではない。となると、唯一の期待は、2012年にドラフト1位で入団した新星ケヴィン・ガウスマンだろうか。

 映像で見る限り、ガウスマンはなかなか絵になる投手だ。'91年生まれの22歳。マウンド上の態度は落ち着いているし、変化球の切れも鋭い。今季序盤はけっこう派手に打ち込まれていたが、故障が癒えて現場復帰してからは、完全にひと皮剥けた投球を見せている。もし彼が、残り25試合でブルペンの救世主になるようなら、オリオールズ土壇場の猛追はまだまだ期待できそうだ。

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