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復帰直後のガンバでゴールを量産中。
宇佐美貴史の伝説が再び動き出す。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byDaiju Kitamura/AFLO
posted2013/08/10 08:02
かつて「天才」の称号はこの男のためにあった。宇佐美貴史は失意の時期を越えて、古巣・G大阪で目覚しいパフォーマンスを見せている。まだ21歳、宇佐美のキャリアは始まったばかりだ。
宇佐美伝説、再点火の気配だ。
6月、宇佐美貴史は期限付き移籍先だったホッフェンハイムからガンバ大阪に復帰した。
2年ぶりの国内復帰戦となった7月20日、ヴィッセル神戸を相手にいきなり2ゴールを挙げ、ファンの度胆を抜いた。8月4日の岡山戦でも貴重な同点ゴールを挙げ、2点目にも絡み、3-2の勝利に貢献した。
海外から国内復帰した選手は一様に日本サッカーに慣れるのに苦しむが、それを全く感じさせず、むしろレアンドロ、家長昭博ら攻撃陣の主力が退団した穴を一人で埋める活躍をしている。
「神戸戦の1点目のゴールは大きかった。あのゴールで自分自身、落ち着くことが出来ました。内容もヤットさんに『流して』って言って、それをしっかり決めることが出来たし、2点目は時間帯も良かったし、ゲームを引っ繰り返すという意味のあるゴ-ルやった。
岡山戦のゴールは、晃太郎(大森)がいいところまで運んでくれて、ファーストタッチからすぐにシュートというイメージ通りだった。今は前(FW)で使ってもらっているんで、自分の役割は点を取ること。そして、チームの勝利に貢献することです」
世界トップとの実力差に衝撃を受けたドイツでの2年間。
宇佐美は、2011-2012シーズン、ドイツの名門クラブであるバイエルン・ミュンヘンに期限付き移籍をした。将来性とタレントを評価されてドイツに渡ったが、リベリー、ロッベンら世界トップレベルとの実力差に衝撃を受け、フィジカル、メンタル面の課題もあり、リーグ戦出場はわずか3試合に終わった。
2012-2013シーズンは、出場機会を求めてホッフェンハイムに期限付き移籍。序盤こそ出場していたが、監督が度々交代するという不運にも見舞われ、後半戦はベンチにも入れず、20試合出場2得点という成績でシーズンを終えた。
「とても成功したなんて言えない。もう恥ずかしい、悔しい気持ちでいっぱいの2年間だった」