フットボール“新語録”BACK NUMBER
バイエルンの圧倒的強さの秘密は、
老将・ハインケスの変貌にあり!
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byItaru Chiba
posted2013/05/17 10:30
チャンピオンズリーグはレアル・マドリーを率いていた1998年に制したことがあるユップ・ハインケス。ドルトムントを倒し、バイエルンに12季ぶりのビッグイヤーをもたらすことができるか。
人は何歳になっても変われることを示したハインケス。
それにしても、なぜ突然ハインケスは別人のようになったのか。
答えは簡単だ。昨季、ミュンヘンで開催されたCL決勝において、チェルシーにPK戦の末に敗れて奈落の底に突き落とされたからだ。さらにブンデスリーガでもドイツ杯でも、準優勝に終わった。その屈辱が、変貌の引き金を引いたのである。
「タイトルを取れなかったことが、全員の目を覚まさせた」とハインケスは振り返る。
ハインケスは今年の5月9日に、68歳になった。アラウンド・セブンティー。古希直前である。
にもかかわらず、プライドを投げ捨てて過去の自分を否定し、監督としてもう一段階進化して、再びCLのファイナルまで登り詰めてきた。恐るべき執念だ。
人は何歳になっても変われることをハインケスは示した。古いタイプの老将が、わずか1年で最もモダンな名将のひとりになったことは、CLの歴史において長く語り継がれるに違いない。