バルサは1失点すると、6点取らなければならない。

　この場面だけではない。メッシはバイエルン戦とは違いキレのあるプレーを見せ、チームも勢いづいた。終了間際に同点にされるものの、メッシを中心にチャンスは多かった。

「レオが入ってから相手を崩せるようになった。状態はよくなっているし、彼が100％になるのを待とうじゃないか」

　試合後、ロウラはメッシに関してこう語っている。

『彼が戻ってきた』

　ある新聞はそんなタイトルを掲げた。メッシにかかる期待とともに、バルセロナの士気は高まっている。

　カンプノウの熱気は両チームを包むだろう。大声援に背中を押され、選手は第1レグとは違うプレーを見せるはずだ。メッシの状態も上向きで、彼が1、2点とっても何もおかしくはない。

　どうやって4点を取るか――。誰もがそんなことを考えている。

　しかし、メッシの好調と盛り上がりの陰に隠れているが、この試合の本当のポイントは全く別のところにある。

　それが、「バルサは1失点でもすれば、6点を取らなければならなくなる」という、動かしようのない事実だ。

バルサが数点取っても、前がかりの裏を突かれることは確実。

　おそらくバルサは数点は取るだろう。しかし前がかりになるバルサのサイドバックの裏のスペースほど、バイエルンのサイドアタッカーにとって美味しいものはない。残されたピケがリベリーやロッベンとの1対1に慌てふためく場面は何度も見られるはずだ。

　第1レグを0－2で落としていたミランとのベスト16第2レグを思い返してみる。この試合、バルサはニアンにGKと1対1となる決定的なチャンスを作られている。若きニアンのシュートはポストに当たりバルサは救われたが、現ミランの数倍の攻撃力と経験を持つバイエルンが、それらの決定機を逃すことは考えにくい。

　バイエルンは第1レグと変わらず中盤でバルサのMFを自由にさせないだろう。「シュバインシュタイガー×シャビ」と、「ハビエル・マルティネス×イニエスタ」のマッチアップ、そしてマンジュキッチとミュラーは“出どころ”のブスケッツを交代で抑える。

　バイエルンは全体のブロックを第1レグより下げ、バルサが相手陣内でプレーする時間は長くなるだろう。ポゼッションは第1レグの63％を上回るかもしれない。

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