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4得点の重圧と1失点のリスク……。
メッシ復調もバルサDF陣に残る不安。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2013/05/01 11:10
バルセロナのDF陣、ピケ、アルバ、バルトラと絡むバイエルンのMFマルティネス。準決勝第1レグでは、豊富な運動量でバルサの中盤を圧倒した。
“Con Leo todo es posible (レオのいるバルサに不可能はない)”
試合2日前のバルセロナの地元紙『ムンド・デポルティーボ』の一面だ。タイトルの下には、両手で天を指差すメッシの背中がある。
バイエルンとのCL準決勝、第1レグを0-4で落としたバルセロナ。ミュンヘンでバルセロナがみせたのは今季最低ともいえるパフォーマンスで、結果でも内容でも、今まさにピークにあるバイエルンに完全に凌駕されていた。
予想外の大敗の理由のひとつは、負傷明けで低調だったメッシに依存しすぎたことだった。メッシは攻撃時にはバイエルンの統制された組織の前に何もできず、守備時もひとりだけ動けずにチームの足を引っ張っていた。
メッシがゴール前の4人を抜き去り、今季ベストゴールを決めた!
「不可能だ」
第1レグの後、楽観的なはずのカタルーニャ人は揃って悲しい顔をしていた。
しかし第2戦が迫るにつれ、その空気に少しだけ変化が見えつつある。
冒頭の地元紙のタイトルもそうだ。ファンは試合前にカンプノウの客席を『バルサの誇り』という巨大な文字で埋め、チームを鼓舞する準備をしているという。
ファンやメディアが逆転を信じるようになった根拠、それは27日に行なわれたアスレティック・ビルバオ戦の35分間にある。
この試合、メッシはベンチスタートだった。ビラノバ監督はバイエルン戦を見据え、ソングやチアゴ、アビダルらが出場するなど、1軍半のメンバーで挑んでいる。チームはバイエルン戦のショックを引きずるようにふがいないプレーに終始していた。
状況が変わったのは後半14分のこと。シャビに代わりメッシがピッチに立ってからというもの、バルサはリズムを取り戻す。メッシは8分後には同点ゴールを決めた。
ファンに逆転の期待を抱かせているのは、まさにこのゴールだ。
ゴール正面の密集地帯。メッシはそこでビルバオの選手4人をかわし、ゴール左隅に決めている。今季彼がリーガで決めた44得点の中でもベストゴールとされる、綺麗な1点だった。