スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
驚異の飛び出しと失望の大型補強。
~MLB序盤戦の明と暗~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2013/04/21 08:01
好調ブレーヴス浮沈のカギを握る、次世代スターのヘイワード(右端)。
充実の投手陣がロケットスタートの勢いを継続させる。
ただし、野球の場合は、初めよければすべてよし、という掟が当てはまらない。
昔といまとでは事情が異なるにせよ、11球団のなかでポストシーズンに進出できたのは、半数以下の5チームにすぎない。ワールドシリーズを制したチームとなると、'66年のオリオールズと'84年のタイガースだけだ。
'13年のブレーヴスは、栄光の系譜に連なることができるのだろうか。それとも、結果的に残念賞で終わってしまうのだろうか。
かなり行ける、と私は踏んでいる。
なによりの魅力は、若手先発陣の充実だ。クリス・メドレン、マイク・マイナー、ポール・マホームのトリオは全員が30歳以下だし、37歳のティム・ハドソンもまだまだ第一線で活躍できる。さらに、抑えの切り札クレイグ・キンブレルはまだ伸びそうだし、22歳の新鋭フリオ・テーランの潜在能力も侮りがたい。アプトン兄弟やジェイソン・ヘイワードを軸とする打線はやや弱いが、この投手陣ならば、夏にかけて大崩れすることはまず考えられない。
ブルージェイズは鳴り物入りの大物投手が懸念材料に。
一方、評判倒れのチームも見受けられる。
レイズ、エンジェルス、ブルージェイズといった本命株だが、とりわけ気がかりなのは大型補強を行ったブルージェイズだろう。
今季のブルージェイズは、大枚をはたいて名の通った投手を3人も補強した。R・A・ディッキー、マーク・バーリー、ジョシュ・ジョンソンがその3人だが、懸念材料は彼らの年齢だった。
'84年生まれのジョンソンはともかく、ディッキーが'74年生まれで、バーリーが'79年生まれ。過去の実績がいかに立派でも、ある日突然、衰えに直面する可能性は否定できない。実際、4月15日現在、ふたりの防御率はディッキーが5.82で、バーリーが7.31。
'12年、派手な補強がすべて裏目に出たマーリンズのような惨状はもたらされないと思うが、投打とも不発のままシーズンを終えるケースは考えておく必要があるだろう。大型補強があてにならないという定理は、今季も成立しそうな気がする。