力不足を痛感したことで高まった得点へのこだわり。

　そして、パラグアイ戦を迎えた。

　岡崎は、後半20分、松井と交代して出場した。0－0という緊迫した状態で、最後まで決着がつかず、PK戦の末に敗れた。

「自分が入った時は、監督から裏を狙えって言われたんで。もちろん常に狙ってはいたけど、チャンスがなかった。やっぱり、世界と戦うとちょっとズレたボールでもそれを簡単に収めて味方に繋いでいかないといけない。それがなかなか出来なかった。途中交代した選手がもっとやらないといけないのに、ほんと残念です。個人的には、今回はスタメンで出れないことも含めて力不足を感じた大会でした。途中から出てチームが点が欲しい時に、何もできなかったんで。今の意識じゃ世界じゃ戦えないんで、日本に帰って整理して前に進んで行きたい。ほんと、サッカーに対する思いも強まったし、死ぬまでサッカーやりたいって改めて思ったんで……」

　岡崎は、淡々と、そう言った。

南アでの苦い経験をＪリーグで昇華させるために。

　7月17日、静岡ダービーの磐田戦、岡崎はＪリーグに戻ってきた。

　多くのサポーターがスタジアムに駆け付け、W杯後の彼の活躍を期待した。岡崎も「結果を出したい」と意気込んだが、シュートを1本も打てず、何もできずに終わった。W杯でサブに甘んじ、高まったサッカーへの飢餓感を解消することはできなかった。

「今日は目立ったプレーができなかった。やっぱり、今日みたいな試合で、一人で打開できるようにならないといけない。それが課題だし、コンディションもまだまだなんで、これから徐々に上げていきたいですね。まぁもともと何も通用しないところから始まったんで、また一から頑張ります」

　岡崎は、厳しい表情で、そう言った。

　ホロ苦い再スタートになったが、ここからがサッカープレイヤーとしての力量が試されることになる。W杯の苦い経験を生かすも殺すも自分次第。W杯で見付けた課題を克服し、刺激を受けたスペインのビジャのような得点感覚を掴めた先に、リベンジとなるブラジルW杯が見えてくるはずだ。