欧州サムライ戦記BACK NUMBER
マンUで「毎試合出場とフル出場」を。
香川真司、プレミア仕様に変身中!
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAP/AFLO
posted2013/04/10 12:35
ダービーマッチが終わった直後の香川。その表情からはチームでの複雑な立場が窺われるが、次のビッグチャンスを待つしかない。
プレミアで戦う香川に足りないもの、それは……。
香川自身は今季、繰り返し繰り返し口にしている。
「うちのチームは誰が出ても、それぞれに結果を出すチーム。毎試合、ゴールに絡む事、シュートまで行く事が課題」
では、そのために何が足りないのか。
明らかに足りないのは、フィジカルの強さである。
それが如実にあらわれたのが、アウェーのレアル・マドリー戦だった。香川にとってのベストポジションであるトップ下で先発し、ファンペルシ、ルーニーという香川の特徴を理解してパスを出し、受けてくれる選手達と共にスタートした。だが、パスを受けるとこの日はことごとく相手ディフェンダーにつぶされた。
確かにサイドとはちがい、プレッシャーを受けやすい位置ではある。実際、香川はボールを失ったことで一度はクリスティアーノ・ロナウドに決定的なチャンスまで持って行かれている。結果、この日チームで一番早い64分にギグスと交代している。CLだけではなく、プレミアリーグでみても、ドルトムント時代に比べ失う回数が格段に多いのは気になるところだ。
香川の「毎試合出場とフル出場」という願いはかなうのか?
また、香川本人は「毎試合出場とフル出場」への強いこだわりを、今でも口にする。
それは単に意欲があるという意味だけではなく、試合をこなすことによって試合勘やペースを保てるからでもある。ファーガソン監督のもと、毎試合出場することは至難のわざだ。たとえルーニーであっても、容赦なく外される。もちろん今季のファンペルシのように調子が良ければ別だが、それでも毎試合出場にはほど遠いのだ。
たまに出た試合で、例えばこのダービーのような短時間での起用となると、なおさら好パフォーマンスを発揮する事は難しい。香川自身も決してそういう起用のされ方が得意なタイプではないのだが……それでも、チャンスを掴むには無駄に出来ない貴重な数分間だったとは言えるかもしれない。