セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セレソンとも伍したモヒカン・コンビ。
「俺たちが新生イタリア代表だ!」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/04/04 10:30
3月21日、ブラジルとの国際親善試合で2-2と引き分けたイタリア。2点目を決めたバロテッリ(右)とエルシャーラウィがお互いの鶏冠を触り合い、ゴールを祝う。
「とにかく全力を尽くす」と悪童は代表に忠誠を誓う。
続くアウェーのマルタ戦では、先発の11人をユベントス組(6人)とミラン組(5人)だけで構成する試みも行なわれた。1947年以来の椿事に躍動したのがミラン組で、前半8分にドリブル突破でエルシャーラウィがPKを獲得。
「俺が蹴るより先に動いたら、そのGKはすでに負けている」と言い放ったバロテッリがPKで先制すると、前半終了間際にはミラン下部組織生え抜きの20歳DFデシーリオのアシストによって、代表2度目のドッピエッタ(2得点)を達成した。
1月のミラン移籍で母国に帰還して以来、悪童っぷりが鳴りを潜めるバロテッリは好調そのものだ。住み慣れたミラノで家族の近くにいることで得られる精神的安定によるもの、とプランデッリは分析する。
対戦相手のサポーターから野次られ、露骨なファウルを受けることも多い。代表の大黒柱として頼られる責任感が、悪童を真のエースへと脱皮させつつある。マルタ戦前の会見では殊勝な言葉を残した。
「代表より大事なチームはない。とにかく全力を尽くす。何ていうか、うまく説明できないけど代表は特別なんだ」
ミランの若きエースはアズーリの世代交代に意気軒昂。
EURO後の新戦力として定着したモヒカン・コンビの相棒、エルシャーラウィは代表の変化により自覚的だ。今シーズン前半戦で、10代のうちにミランという名門でエースを担ったことで精神的に大きく成熟した。
「アズーリを若手中心にすることは、代表の大きな分岐点。ただし、今の代表はどんな強豪とでも互角に戦えるレベルにある」
日頃、同じチームで揉まれるバロテッリとのコンビプレーの精度は高く、代表でのチャンスメイクの数は激増した。加えて、若さがあるだけに勢いに乗せると、対戦相手にとっては厄介この上ない。
“中盤のパスワークと縦への速攻”という代表のチ-ムコンセプトは不変ながら、指揮官プランデッリの頭にあるのは2つの布陣だ。昨年のEUROで成果を挙げ、司令塔ピルロが最も活きる4-3-1-2か、攻撃力重視でモヒカン・コンビが「やりやすい」と声を揃える4-3-3か。指揮官にとって、6月のコンフェデ杯はトーナメントを戦う上での格好の試金石になるだろう。