セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セレソンとも伍したモヒカン・コンビ。
「俺たちが新生イタリア代表だ!」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/04/04 10:30
3月21日、ブラジルとの国際親善試合で2-2と引き分けたイタリア。2点目を決めたバロテッリ(右)とエルシャーラウィがお互いの鶏冠を触り合い、ゴールを祝う。
キックオフを今かと待つイタリア代表の頭には、長短2つのモヒカンヘアがそびえ立っている。
22歳の“怪童”バロテッリと20歳の“ファラオ”エルシャーラウィ。ミランでもコンビを組む若手FW2人が、3月の代表2連戦でも息の合ったプレーを見せた。ともに'90年代生まれの移民2世コンビは、王国ブラジルを窮地に追い込み、W杯欧州予選でも躍動。新世代アズーリの強化は急速に進んでいる。鶏冠頭のエルシャーラウィは声高らかに言う。
「俺たちが、“新しいイタリア”だ」
親善試合で発掘された弱冠二十歳の“ファラオ”。
EURO準優勝後、チーム再編成の遅れが叫ばれたイタリア代表だが、昨年10月のW杯予選デンマーク戦のバロテッリ復帰とともに安定感と緊張感を取り戻した。
代表監督プランデッリは過密日程と選手たちのコンディションを秤にかけつつ、欧州予選グループBでは白星を最優先させながら、フレンドリーマッチを新戦力発掘の機会と割り切りチーム強化を着実に進めてきた。その中から台頭してきたのが、11月のフランス戦で代表初ゴールを決めたエルシャーラウィだった。
3月21日、イタリアはジュネーブでブラジルと激突した。前半で負った2点のビハインドを挽回すべく、後半から投入された“ファラオ”は、54分にバロテッリのヒールパスを生かして敵陣に切り込むと、あわやのシュートでCKを奪取。その後のMFデロッシの追撃弾を導いた。
ネイマールも脱帽した悪童バロテッリのドライブ弾。
3トップへの戦術変更で勢いに乗ったバロテッリも、57分に自らボールを奪うと豪快なドライブシュートをゴール右上隅に突き刺した。ノーゴールに終わったブラジル代表FWネイマール(サントス)は「あの物凄いシュートは何なんだ……あいつは“クラッキ(最高の選手)”だよ」と脱帽。
そもそも前半の2失点も、攻めにいった結果、省エネ路線のブラジルによるカウンターに捕まったもの。コンフェデレーションズ杯の前哨戦はドローに終わったが、智将プランデッリは「判定勝ちには持ち込んだ」と互角以上の戦いぶりだったことを強調した。