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“ピルロの呪い”は過去のものに!?
バイエルン、ユーベ撃破で4強へ前進。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2013/04/03 12:20
試合後、唖然とするピルロと勝利を喜ぶリベリー。ユベントスホームで迎える2ndレグ、ピルロはその力を発揮することができるのか?
ドイツクラブの前に“ピルロの呪い”が立ちはだかる。
この一戦を前に、『ビルト』紙はまことしやかに主張していた。
ピルロがACミランに在籍していた時期に、バイエルンは6回対戦して、2分4敗。一度も勝てていない。ドイツの他のクラブに目を移しても、過去10年で、シャルケ、ヴォルフスブルク、ブレーメンがピルロのいるミランに一度も勝てなかった。ブンデスリーガのクラブが最後にピルロに勝ったのは、2003年3月18日、CLのグループステージでドルトムントがミランを1-0で下した試合までさかのぼらなければならない。
ドイツのクラブは、天敵ピルロに勝てない。そんな不安があったのだ。
さらに、3月30日に行なわれたブンデスリーガ第27節ハンブルガーSVとの試合で、バイエルンは9-2という野球のようなスコアで大勝しているのだが、そこで2ゴールを決めたロッベンはユベントス戦を前に吠えていた。まるで、サブに甘んじている今シーズンの処遇に対する不満を晴らそうとしているかのように。
「(ユベントス戦では先発で)プレーしたい! いや、プレーしなければならない。でも、僕は監督じゃないから決められない」
ユベントスとの対戦を前に漂っていた嫌なムード。
ブンデスリーガでは今季の優勝を手中に収めているバイエルンだが、セリエAで首位を走るユベントスとの対戦を前に、どことなく嫌なムードが漂っていたのだ。
4月2日、バイエルンのホームで行なわれたチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグ。ユベントスのキックオフで始まった試合の、1分もたたない時間帯だった。
敵陣中央でクリアボールを拾ったシュバインシュタイガーが、左にいたアラバへつなぐ。中央に位置していた左サイドバックは思い切りよく左足を振りぬいた。この試合の1本目となるシュートは、相手MFに当たってコースが変わる。ユベントスのGKブッフォンも突然変わったコースには対応できず、ゴール右隅に吸い込まれた。バイエルンにとっては願ってもないような先制点だった。
もっとも、そこから先はユベントスが優位に試合を進めていった。