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“ピルロの呪い”は過去のものに!?
バイエルン、ユーベ撃破で4強へ前進。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2013/04/03 12:20
試合後、唖然とするピルロと勝利を喜ぶリベリー。ユベントスホームで迎える2ndレグ、ピルロはその力を発揮することができるのか?
2ndレグを待たずに、明暗の分かれた2チーム。
攻撃ではユベントス相手に苦戦していたものの、ドイツ史上最強と言われる守備の堅さを誇るバイエルンの守備は安定していた。FWのマンジュキッチはDFラインにプレッシャーをかけつづけ、ビルドアップのミスを狙っていた。またトップ下の選手と連携して、ピルロの配球には気を配った。試合後にハインケス監督が「試合の流れからうまくピルロを追い出すことができた」と語ったほどの出来だった。
2点のリードを得たことで余裕を持つと、そこからは今季の強いバイエルンに戻っていた。相手が寄せてきても、いくつも用意されたパスコースにボールを送る。前に出せないと思えば、無理はせずに後方に戻し、攻撃を組み立てなおす。この日の彼らにとっては2点のリードで十分だった。
後半ロスタイムにミュラーが立て続けにエリア内で決定機を迎えたが、決められず。決定的な3点目こそ奪えなかったが、2点差をつけ、アウェイゴールを与えずに敵地トリノでの2ndレグを迎えることになった。
次の試合、ユベントスがビダルとリヒトシュタイナーの2人を出場停止で欠くのに対して、バイエルンには出場停止明けのマルティネスが戻ってくる。2ndレグを待たずに、明暗は分かれた。
ブンデス暗黒時代は終わり、ピルロの呪いも過去のものに。
「イタリアのチームは、興味深い戦術を用いてくるから、次の試合が簡単なものになることはないさ。でも、今日の結果はオッケーだ」
試合後のシュバインシュタイガーは慎重に語ったが、キャプテンのラームは胸を張った。
「僕たちは相手にほとんどチャンスを与えなかったんだ」
最近4シーズンで3度目となるベスト4進出も視界に入ってきたといっても過言ではない(バイエルンがベスト4進出を逃したのは'10-'11シーズンで、このとき内田篤人がプレーするシャルケがベスト4入りを果たしている)。
もっとも、バルセロナに次いでUEFAクラブランキングで2位につけるバイエルンにとっては、これくらいの戦いは“しなければいけない”ものだ。
ピルロの前に苦杯を舐めてきた過去10年、その大半はブンデスリーガにとって暗黒の時代であった。
気がつけばリーグのレベルが上がり、ピルロの呪いもまた、過去のものとなっていた。